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屍者の帝国 / 伊藤計劃 / 円城塔、あらすじと感想

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屍者の帝国

屍者の帝国を読みました。

屍者の帝国

屍者の帝国

Kindle版はこちら→[asin:B00BH70H4E:title]

プロローグは短編集The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)にも収録されています。このプロローグを引き継いでひとつの物語として完成させたわけですね。お二人の小説は正直まったく毛色の異なるものですけど、ひとつの小説として読むとすごく完成度が高くて円城塔先生さすが、となりました。伊藤計劃ファンにとってこの作品はどうなんでしょう。これが伊藤計劃の作品なんて、じょおおおおおおおおだんじゃない、とか言っちゃうのかな。

円城塔先生の作品はいくつか読んだことがありますが、最も印象に残っているのは研究室で物理学会誌を読んだときに見た、ポスドクの悲哀について考察したエッセイですね。ポスドクからポストポスドク、っていうタイトルだったと思います。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

死体を屍者化する技術が確立されたロンドンから始まるワトソンの世界を巡る旅を描きます。屍者は動く死体です。屍者の脳にネクロウェアをインストールし、単純労働に従事させる世界です。屍者はもはや欠かせない社会インフラとして機能しています。ワトソンは優秀な医大生ですが、ユニバーサル貿易という名のイギリスの諜報機関からの命令を受けて戦場に赴きます。そこで、ロシアを裏切り屍者の王国を樹立したと言うカラマーゾフなる人物の話を聞き、追跡を開始します。その後は、日本、アメリカ、またイギリスと世界を一周して、エピローグとなります。

屍者とは何か、というのが後半ザ・ワンによって語られますが、この部分は虐殺器官、ハーモニーから着想を得ていますね。エンディングへの持っていき方も2つの作品を読むと納得できるものでした。私は円城作品がやや読みづらくて、物語が1,2,3,4と続いていくと4を読むと1と2でのやり取りが理解できて、5まで読むと3で起こっていたことの意味がわかる、みたいな展開だとすんなり読んで行けないんですよね。物語は一直線なんですけど、ちょっと読みにくいのが残念でした。

The Indifference Engine

The Indifference Engine

Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)

Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)

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