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放課後はミステリーとともに / 東川篤哉、あらすじと感想

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東川篤哉作品を読んだのはこれが3作目。この『放課後はミステリーとともに』はドラマ化されているようです。東川先生売れっ子作家ですねー。

これまでに読んだ作品は2つ。以下のレビューです。

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放課後はミステリーとともに』は主人公の霧ヶ峰涼の、ミステリーの皮をかぶったドタバタ劇ですね。最初にページをめくると、

*本作品集は、ミステリーの仕掛けをご堪能いただくため、第1話「霧ヶ峰涼の屈辱」からお読みいただくようお願いいたします。

(著者・編集部)

というただし書きがありました。一応事件は起きるんですけど、ほとんどの事件で霧ヶ峰涼が推理を命中させません。あくまで、エアコンみたいな名前をいじられるキャラです。他の人が見事な推理で勝手に解決していきますw。舞台は常に高校です。広島ファンならわかるであろう単語が出てくるんですけど、私には全然わかりませんでした。

ミステリーとしての面白さよりもラノベ風のキャラクターのやり取りの面白さが優っていますね。コメディとして読めます。ドラマもなかなか面白くなりそう。東川先生はシンプルなミステリーのネタをふくらませて、コミカルな一つの話として成立させるのがうまいです。

各話のあらすじを書いておきます。ネタバレに注意です。

霧ヶ峰涼の屈辱

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E字型の校舎での放課後、霧ヶ峰涼がEでいうところの1画目の通りに面した視聴覚室に入ったところ、映像を盗みに入った男とぶつかり、その男が二画目の縦1の方に逃げていくのを目撃します。E字型の各ポイント、さらに出口に人が居るのですが、逃げたと思われる出口付近にいた人は誰も見ていないと言います。犯人はどこに逃げたのか。

さらに出口付近で誰も見ていない、と証言した用務員さんが襲われます。用務員さんが嘘をついていないとなると、なぜ襲われなければならなかったのか?

犯人は最初に出口から出て、用務員さんに向かって「誰か逃げてくるヤツがいなかったか?」と聞いていました。そのため、あとから来て同じように聞く人に向かっても同じ答え「誰も出てきていない」を繰り返すことになりました。霧ヶ峰涼の屈辱というのは、用務員さんが口に出した人数の中に自分が含まれていなかったために、犯人を推理できなかったことです。理由は霧ヶ峰涼が女の子だから。犯人は男ですし。

霧ヶ峰涼の逆襲

イケメン俳優の追っかけカメラマンと出会った霧ヶ峰涼。カメラマンは某アパートで俳優の密会を写真に取ろうと張っていました。そこにワゴン車が到着。部屋に担架を持ち込み入っていき、女の人を担架に乗せて出ていきます。その後、カメラマンはアパートを張っていましたが、俳優が入っていくところは見たのに出ていくところは捉えられませんでした。というか誰も出てこない。

それもそのはず、ワゴン車から出て担架を持ちだして部屋に入ったのは1人だったからです。運転席から見えるように出たあと、反対側で上着を替えて見せてあたかも2人が担架を持って部屋に入ったように見せかけて、女の人を担架に乗せて俳優は運びだす人に変装して出てきたから。

そのことを霧ヶ峰涼が見事推理するのですが、これはまんまと悪意にはめられた推理でした。密会していたのは俳優と男、つまりそういう関係。担架を持ち込んだのが女です。女はそう推理することを見越して、自分のアリバイ(部屋に俳優と居た)を推理させ、担架を運びこむ前にライバルの女優を襲っていました。

霧ヶ峰涼と見えない毒

毒入りコーヒーを飲まされた被害者。コップ、コーヒー、シナモンスティック、シロップなどどれに毒を入れられていたかわからない。しかし、みんなが飲んでいた他のそれらからは毒が出てこない。

実は飲んどいたのはコーヒーではなく、モカチーノという飲み物。これはストローで飲みます。毒はストローについていました。犯人はこっそり下に落ちたストローを回収していました。

霧ヶ峰涼とエックスの悲劇

天体観測のために学校に来たところ、UFOを目撃。UFOを追いかけると畑の真ん中で倒れている女性を発見。首を絞められていましたが、畑の周りには女性以外の足跡はありませんでした。UFOの仕業と思われます。

実はUFOは蛍光塗料を塗った凧。この凧糸で首を締められた上で、最後凧は風に乗ってどこかに行ってしまったというオチでした。

霧ヶ峰涼の放課後

体育倉庫でたばこを吸っていたと思しき不良の荒木田ですが、先生に手伝わされて倉庫を探した時にはタバコが見つかりませんでした。そしてなぜか霧ヶ峰は荒木田からお礼にハンバーガーを奢られます。

霧ヶ峰が探したのは跳び箱。荒木田は一番下の段の隙間からタバコを押し込んでいましたが、霧ヶ峰が上の段を外した時には、何もありませんでした。これは、別の誰かが跳び箱に細工をして上の段を外すと下の板と同じ模様が見えるように間に板を張っていたため。一番下には覗き用の隠しカメラが仕掛けられていました。

霧ヶ峰涼の屋上密室

教育実習で来ていた先生が、屋上から飛び降りた女子の下敷きになります。屋上に至る唯一の階段にはイヤホンをつけてゲームに夢中の下級生。彼は誰も見ていません。つまり、屋上は密室でした。密室っていうんでしょうか?

下敷きになった教育実習の先生は女子の下敷きになる直前に怪しい動きをしていた上、目覚めた時も意味不明のアリバイ証言を始めます。この先生が犯人で、女子生徒を屋上から突き落としていました。ところが木に引っかかり、落ちたところを確認しに行ったところ、何も無いので驚いて確認していたところ上から落ちてきた生徒の下敷きになっていました。さらに、そのことを理解できず、あらかじめ逃げるために考えていた嘘アリバイを証言したために犯人であることがバレます。

霧ヶ峰涼の絶叫

砂場で後頭部を強打された陸上部キャプテンの足立。足立に恨みを持つ全員にアリバイがありました。

足立は砂場に放置されていたトンボを踏み、持ち上がった持ち手の部分で後頭部を打っていました。ただの自滅です。第一発見者の女子は、足立がこのことに気づくと、片付けをちゃんとやっていなかった下級生が罰としてしごきを受けることを憐れみ、トンボをこっそり片付けていました。

霧ヶ峰涼の二度目の屈辱

霧ヶ峰涼の屈辱に引き続き、性別にまつわる屈辱シリーズ。美術部の可愛い子からモデルを頼まれて美術室に行くと荒木田が襲われて倒れているところを発見。逃げる犯人が学ランを着ているのを目撃します。現場も1話と同じE型の校舎。

犯人は応援団の女子。そのため犯人を男だと思った霧ヶ峰は犯人の女の子を見逃していました。学ランはこっそり隠していました。さらに襲われた荒木田は霧ヶ峰涼を名前から男だと勘違いして襲われていました。つまり応援団の女の子は美術部の可愛い子を好きだった、というオチ。

この小説、コミカライズ版もあるんですね。

Kindle版はこちら→放課後はミステリーとともに【コミック版】

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