松浦だるま先生の「累-かさね-」を、現在出ている3巻まで読みました。このマンガすごくいい。今年読んだマンガの中では一際光っています。
醜悪な容姿を持つ主人公の淵累(ふちかさね)が、魔法の口紅の力で他人の顔を奪い取って、圧倒的な演技力で舞台に立つ女優となります。
伝説の女優とまで言われた母の淵透世(ふちすけよ)の呪縛に突き動かされて、舞台を求める累の描写に迫るものがあります。3巻まで読みましたけど、息もつかせぬ展開で楽しめました。
3巻までのあらすじと感想(ネタバレ注意)
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醜い容姿持つ累の小学生時代から。女優である母はすでに故人です。「ひとりぼっちで本当に辛い時は、ママの鏡の引き出しの口紅を・・・」という言葉が耳に残っています。
その醜さ故に、壮絶ないじめを受けています。見世物にされるためだけに学芸会のシンデレラ役をやらされます。演技力こそ有りますが、いじめの首謀者で美貌を持つイチカに無理やり舞台から下ろされます。そして、イチカと二人きりになった時にい「口紅をぬってあなたのほしいものにくちづけを」という母の言葉が頭に響き、イチカに口付けし、顔を奪い取ります。イチカの顔でシンデレラとして舞台に立つ累。称賛のまなざしを浴びる快感に目覚めます。
顔を奪われたイチカは、累の顔を刃物で引き裂いて自殺しました。元の顔に加えて口裂け女の如き傷により、ますます醜悪な顔になる累。
高校に入ってからも、その容姿からいじめは続きます。そして、累の燃えあがるような嫉妬が、美しい容姿を持つ五十嵐幾に向きます。幾はただ一人累に優しく接する人間でした。幾もまた、かつていじめられたという過去を持っていました。ただし、幾がいじめられた理由は「飛び抜けて可愛かったから」。女社会のヒエラルキー怖すぎます。幾の顔も奪い取って代わりに舞台に立つ累。こちらは、幾の記憶が飛んでいることにして、なんとかうやむやに。
そして、母の秘密を知る演出家の羽生田釿互(はぶたきんご)が登場します。眠り姫症候群を患う丹沢ニナの顔を借りて演技するよう支持してきます。いつ眠りに落ちるともわからず、演技力もそれほどないニナと累ならwin-winの関係を築けるという訳。しかし、ニナが眠っている間にニナが片思い中の人や人間関係すべてをごっそり攫うほどの累の演技力を見て「すべてを奪われる」という強迫観念にとらわれます。ニナは投身自殺を図り、その結果として命こそあるものの植物人間となってしまいます。ここからは累がニナとして生きることとなります。
圧巻なのは、ニナが別人になったのではないかと疑う母親をやり込めるところですね。立ち居振る舞いもそっくりで、思い出を語る娘にどうしようもない違和感を抱くシーン。父親を味方につけて、母親を精神病という事にしちゃいました。
3巻までですけど、一度読み出したら止まりません。口紅の力は謎が多すぎますね。美貌を誇る母親は間違いなく他人から奪った顔でした。その顔をどうやって維持していたんでしょう。顔の持ち主に24時間おきにくちづけするなんて普通はできませんからね。
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