セキセイインコ / 和久井健(1)-(3)、記憶の魔神メモリーや五感を操る超能力バグなどのSF要素が盛りだくさん

「新宿スワン」の和久井健先生のSFマンガ。記憶の魔神メモリーや五感を操る超能力バグなどのSF要素が盛りだくさん。今年に入ってから始まったマンガの中で私が読んだ中では、抜群に面白い。現在3巻まで出ています。

主人公は記憶喪失の金田七(かねだなな)、メモリーからはセブンと呼ばれます。物語は、七がすべての記憶をなくしたところから始まります。七が自分自身の正体を探るのがメインストーリー。キーマンは七だけに見える記憶の魔神メモリー。メモリーは七の記憶をすべて保存しており、その鍵を開いて記憶を取り戻していきます。このメモリーの風貌が独特で一度見たら忘れられません。黒スーツの体で月の形をした顔に、鷲鼻と大きなまつげが付いた目。

3巻までのあらすじと感想(ネタバレ注意)

高校生の金田七は記憶喪失になりました。保護者と名乗る田中一郎はうさんくさく信用できない雰囲気。同級生から話しかけられるも、彼のことも記憶にありませんでした。記憶喪失についてわかったことは、同級生の島日輪子が死に、その死の瞬間側にいたのが七だということ。記憶喪失になったのは日輪子の死の前後であることは間違いありません。

過去の自分の行動について調べると、同級生と共に父親である金田洋七について調べていたことがわかります。犯罪を犯して刑務所に入っているはずが、超能力研究機関PNXという場所に拘束されていると。そしてその情報は政治家である同級生の父親ですら隠そうとするほどのトップシークレットでした。

七には、アカインコという組織のエルメスという男が接触してきます。それを見て何者かと連絡を取る七の監視者田中一郎。田中一郎はPNXの関係者と思われます。再びエルメスが七の前に現れ「カナリアの月をさがせ」と言います。カナリアの月は児童書籍でした。図書館でその情報を見つけた所で、バグと呼ばれると超能力者2人に襲撃されます。図書館員と一緒に調べていたチューコは体を2つに引き裂かれ、七も片腕と片足を切り落とされます。ここで、七の人格がメモリーに交代。メモリーが操る体には超能力が効きません。それもそのはず、実際には何も切れておらず、超能力の正体は五感を操って切れたように錯覚させただけだったからです。そのことを知るメモリーには通用しませんでした。2人の能力者はそれぞれ視覚と聴覚をあやつってセットで斬撃を錯覚させるもの。

バグの攻撃を受けた七には、日輪子と共に洋七に会いに行った記憶が蘇ります。洋七は顔の右目側が黒く変色した七によく似た男。黒い変色はバグの副作用と言います。

「カナリアの月」を描いた神父がいる教会へ行く七。そこで出会った神父は突如満州の話を始めます。そこに現れる田中一郎とアカインコのボス、ストラフ。神父のことを赤犬と呼びます。赤犬はアカインコの創立者で、エルメスに指示を出していたのは赤犬でした。目的は七の記憶の復活。現在のアカインコはそれを防ぐために、七を監視していたんですね。ストラフの圧倒的なバグで殺される赤犬。五感すべてを操るバグにより感覚だけで人を殺せるとは。

赤犬の死に顔を見て、メモリーが「覚悟はいいか」と質問。それに答え、すべての記憶が再現されます。洋七が語ったのは、自分は七の父親ではなく息子であるという事。七は17歳のまま年を取りません。日輪子を殺したのは、日輪子のお腹に要る七の子どもでした。「神の声」というバグを覚醒させる薬でお腹の中の子がバグを暴走させて日輪子を殺していました。

記憶は更に遡り、赤犬・ストラフとの出会いがあった満州へ。七と赤犬は列車に乗っています。それを襲撃するストラフ達。協力なバグで壁を出現させます。壁を錯覚して列車を止める運転士。壁を出現させた男は全身が真っ黒になって死にます。「ロマノフのために」と叫んでいましたけど、ロマノフ王朝が関係しているんでしょうか。列車に積んであった日本軍の積荷を略奪するストラフ達。ストラフに気に入られた七は彼らと共にアジトへ。七はボクシングや馬術の記憶をメモリーから引き出して瞬時に使っていますね。どれだけの時間を生きてきたんでしょう。日本軍にとって略奪は想定内の出来事で、狙いはロマノフの末裔ストラフの持つ秘宝でした。ストラフを追う赤犬。赤犬はストラフらに捕らえられますが、逆に彼らの仲間に。ストラフは、七と赤犬を伯爵に会わせる、と言います。バグやロマノフ王朝に関係した人物でしょうね。

ストラフとエルメスが年をとっていないのは七が関係しているんでしょうか。3巻までのあらすじを書きだして見ましたけど、怒涛の展開ですね。