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ロードムービー / 辻村深月、あらすじと感想

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ロードムービー (講談社文庫)

辻村深月先生の短編集ロードムービー。これまで読んだ辻村先生の作品の中では、私の評価は最低です。興味をひかれる内容ではありませんでした。

出てくるキャラクターや設定が過去作品とリンクしているという事ですが、そのリンクがわかる人にとっても本作はそれほど面白さを感じないのでは。さらりとあらすじを書いておきます。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

ロードムービー

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小学5年生のトシとワタルの2人は家出します。しっかり者のトシと泣き虫のワタル。2人の逃避行に時折、学校での回想が挟まれます。トシは学校では人気者。政治家のお父さんと医者の母親を持ち、クラスの学級委員も務めています。しかし、友達はワタルだけ。ワタルはというと、父親は町工場の社長で比較的貧乏な家庭で学校ではいじめられています。しかしなんだか気の合う2人、というかトシがワタルに他の人にはない何かを感じて親友となりました。

ワタルと仲良くすることで、学校でのいじめの標的がワタルからトシへと変わったことが回想でわかります。しかし、読み進めていくと2人の逃避行の原因はいじめではないことがわかります。逃避行の目的は身代金。ワタルの町工場は1千万の借金で回らなくなり、トシは自分の親に身代金を要求します。

居場所さえつかめないはずの家出ですが、トシの両親につかまります。これは、ワタルがこっそりと居場所をトシの両親に伝えたため。ワタルにとってトシはかけがえのない親友で、自分のために逃げる必要などないということでした。最後にちょっとした名前のミスリーディングが明らかに。トシは実は女の子。名前はとしえです。

道の先

大学生で塾の講師のアルバイトをしている主人公。受け持つクラスには、一際目を引く女の子大宮千晶が居ました。彼女は親が大きなホテルの経営者で、わがままで優秀な生徒。これまでアルバイトが何人も彼女のいじめに遭ってやめさせられています。なぜか彼女に気に入られた主人公。

村上春樹じゃないですけど、千晶はどこからか携帯の番号を入手して呼び出してきます。呼び出されて入ったカフェでは、「好きだ」と言われます。「私のこと抱きたいと思う?」という問に対して「思う。だけど絶対に抱かない」と返します。なんだコレ。

その後彼女は塾にあらわれなくなり、主人公のアパートに乗り捨てた彼女の自転車だけが残されていました。彼女の行方を追い、発見します。そこで明かされたのは、彼女の両親が離婚し、東北の母の実家に引っ越さなければならないという事。「今どれだけおかしくても、そのうちちゃんとうまくいく。いつか、どこか正しい場所を見つけて千晶は平気になる」という言葉。

エピローグに彼女じゃない女性と2人で地元に帰る話が出てきたんですけど、ちょっと意味がつかめませんでした。

雪の降る道

体の弱いヒロは、冬の間ほとんど学校に通えていませんでした。そんなヒロのところに足しげく学校の配布物を届けて励ましに来る礼儀正しいみーちゃん。

ヒロはみーちゃんの気持ちを正面から受け止められず、冷たい態度を取ります。「いなくなっちゃえ」というヒロのセリフをきっかけに本当にいなくなってしまうみーちゃん。弱っている体を押してみーちゃんを探しに向かうヒロ。

ヒロが頼るスガ兄は、みーちゃんがいなくなる前にウサギの雪だるまを作ろうとしていたことから、いなくなった先に当たりを付けます。みーちゃんは「礼儀正しい」子であるというのがヒントになったようです。無事みーちゃんを見つけてハッピーエンド。

最後に、「エピローグ、またはプロローグ」という章が。これは「雪の降る道」のエピローグであるとともに、「冷たい校舎の時は止まる」のプロローグになっているんですね。

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