「クズの本懐」は恋愛マンガですが、ストレートな恋愛ではありません。タイトルの通り、すべてのキャラクターが屈折した部分を持ちます。
物語の基本にあるのが、安楽岡花火と粟屋麦の高校生美男美女カップル。この2人はカップルなのですが、お互い想い合っているわけではありません。簡単に主要キャラクターを説明しておきます。
主要キャラクター
安楽岡花火(やすらおかはなび)
主人公の女の子。粟屋麦は恋人ですが、それは表面上だけで本当は好きではありません。本当に好きなのは幼馴染でお兄ちゃんと呼ぶ新人国語教師の鐘井鳴海。粟屋麦とはお互いに好きな人同士が付き合っているから、というなんとも奇妙な理由で共闘して付き合っています。
粟屋麦(あわやむぎ)
もう一人の主人公の男の子。安楽岡花火は恋人ですが、契約上だけで本当に好きな人は別に居ます。しかし、ちょっぴり花火のことを哀れんで愛おしく思う部分も。新人音楽教師で、かつて麦の家庭教師アルバイトを務めていた皆川茜のことが好き。
絵鳩早苗(えばとさなえ)
女の子ですが、安楽岡花火のことが好き。花火がなんとなく麦のことを本当は好きではないことに気づいています。報われないと知りながら花火と肉体関係を結びます。作中最も茨の道である恋愛道を歩んでいると言えます。
鴎端のり子(かもめばたのりこ)
粟屋麦のことが好きな女の子。「のり子」という名前が嫌いで、自分のことを最も可愛いという意味の「最可(モカ)」と呼ばせています。性格的にもファッション的にも若干痛い子です。花火と麦の契約の秘密を知らず、性格が悪いと知りつつ花火と付き合う麦に困惑しています。
鐘井鳴海(かないなるみ)
上記で紹介した4人が通う高校に新人国語教師として赴任してきた花火の幼馴染。花火からは、幼い頃から痛いくらいの好意を向けられていますが、まったく気付きません。同じく新人で音楽教師として赴任してきた皆川茜のことが好き。
皆川茜(みながわあかね)
鐘井鳴海と同じタイミングで赴任してきた音楽教師。鳴海と付き合っていますが、本当に好きではありません。実はかなりのビッチで他にも彼氏がいます。他人から好意を向けられている人と付き合うことで、自分の存在に価値を感じるという異様な恋愛観の持ち主。本編では、花火の鳴海への思いの強さをそのまま自分の価値だと感じています。
おまけマンガでは作者の自画像がじゃがいもでしたね。暇さえあれば愛猫を吸いまくってるようです。
4巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)
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茜についての麦の回想から。麦は実際には茜がどうしようもないビッチであることを知っていました。高校時代に、かなり年上男性とホテルに入っていくところも見ていたんですね。そういうどうしようもないところも含めて好きとは、歪んでますねー。
花火も鳴海について回想。昔から鳴海の友達にさえも、「こいつはにぶすぎるからやめといた方がいい」なんて言われていました。自分の感情をえっちゃんで発散する花火。えっちゃんもまた、そんなふうに使われる自分で自己犠牲に酔ってる感があります。
4巻の見どころは何と言っても、表紙にもなってる茜先生目線のひとコマ。退屈な学校生活の中に見出した一筋の光明、花火から好かれている鳴海を落とすまで。一度告白されて、つまらないということで断ってから飲みに行き、そこでとっさに花火の名前をつぶやいたのを見逃しませんでした。その日のうちにベッドインという肉食女子っぷり。そして翌日花火の耳元で「昨日鐘井先生としちゃった♥」とつぶやいてます。もう1巻の面影もない悪女。
麦は花火に対して「ちゃんと付き合わない?」と言います。そうなりそうな雰囲気もあったんですが、えっちゃんの表情が怖くなってきています。花火と麦がちゃんと付きあおうとも、花火に迫るのをやめない宣言。
最後は、花火がどんどんダークサイドに落ちて行ってます。ファミレスで目撃した茜のチャラい彼氏を落としにかかります。うーん、誰も幸せになれなさそうな感じがすごくそそります、このマンガ。
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