「式の前日」「さよならソルシエ」の穂積先生が描くファンタジーマンガ。人情に訴えかける展開はありますけど、叙述的な演出がなされるファンタジーですね。
うせもの宿は、少女のような女将がいるとても古い宿。ここに導かれてくるのは、なにか大切なものを亡くしてしまった人たちだけです。
1巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)
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最初に宿を訪れたのは「自分が何を失くしたのか思い出せない」というお客さん。宿まで案内していたメガネの男性はマツウラという名前ですか。少女のような女将が「またマツウラの連れてきた客か」と言いながら不機嫌です。
男は記憶が飛んでいますが、仕事を溜め込んでいたため早く失くしたものを見つけなければと焦っています。宿の中で逃げる女将を追いかけて無限に続くふすまをあけて飛び込んだのが自分の家。そこで、離婚した妻の幻を見ます。仕事にかかりきりになって出ていった妻。気づくと宿の中にいて男の手の中には結婚指輪。自分が結婚指輪を「失くしてしまった」という意識に苛まれていたことに気付き帰って行きます。
登山の格好をした男や女教師が訪れた時に、初めてわかるのがこの宿には命を失くしたひともやってくるということ。それぞれが、自分が一番大切にしていたものを見つけて宿を去っていきます。
最後の話は、息子と共に交通事故にあった母親が宿で息子と出会います。この母親は既に亡くなっています。母親は息子との思い出を、息子は母親の姿を見つけます。死者と生者が会うこともできるんですね。マツウラの言葉から明らかになったのは、この宿で働いている人たちはみんな失くしたものを求めてきたけれど見つけられずに居る人たちだということ。女将さんも例外ではありません。しかし、一番不思議なのは失くしたものを求める客を見つけて宿に連れてくるマツウラ。
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