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17歳。 / 鎌田洋次 / 藤井誠二(1)-(4)、あの凶悪少年犯罪をプロットにした問題提起マンガ

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17歳。 4 (アクションコミックス)

事実は小説より奇なりって言いますけど、人間の所業はフィクションをはるかに超えて残酷です。

神は死んだ - クソログ

少年犯罪史上最も凶悪な事件の一つが「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。これをプロットにしたマンガです。事件は1988年から1989年にかけて起こりました。未成年の少年4人が、女子高生を襲い、監禁し、拷問とも思える仕打ちを加えた上で死亡させるという事件。さらに事件を発覚させないために死体をコンクリート詰めにして遺棄します。

「17歳。」は、この事件をなぞるような展開で、少年犯罪を取り巻く親・被害者・法の有り様を描きます。ちなみに、凶悪犯罪を犯した加害者達は現在、普通に社会に出て暮らしています。マンガの最後も、それを示唆するかのような。

万人にオススメできる内容のマンガではありません。興味があれば手にとって見てください。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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不良達の中でも一際大きな体格でケンカの強かったミヤモト。後輩であるヒロキとタカシは、ミヤモトと知り合いになり慕うようになります。しかし、ためらいなく軽犯罪行為と暴力を繰り返すミヤモトに怯えてもいました。ミヤモトと同じ年で一緒につるんでいるのがミズノとツジの2人。

ナンパと称して、一人が変質者の振りをして女性に襲いかかり、ミヤモトが助ける振りをして車で送るといいながら人気のないところまで連れて行って乱暴する行為を行います。そのターゲットとなったのが女子高生のサチコ17歳。ヒロキは、サチコを逃がすことが出来ましたが、ミヤモト怖さにその行為を黙認します。

ミズノの部屋に監禁したサチコに乱暴し続けるミヤモト達。この描写は見るのがかなりきついですね。ヒロキは、この監禁犯罪にタカシも巻き込みます。サチコとよく似た女の子を自分の学校で見かけますが、この子はサチコの妹でした。姉は父の単身赴任先の高校に進学していたんですね。

サチコを拉致するのに、東京から千葉へと都道府県をまたいだことで、行方不明者の被害届を出された後も捜査の手が及ばないことを計算しているミヤモト。ミズノの親は自分たちの部屋に女が監禁されていることに気付くも助けることも通報することもしません。体目的の暴行から、サンドバッグ目的の暴行へとシフトしていくミヤモトたち。

サチコの妹であるミキは、警察だけに頼らず健気にビラをくばります。ミキは様子がおかしくなったヒロキを怪しみますが、ヒロキは一足先にミヤモトたちから逃れるために行方をくらまします。警察が動いていることもわかり、女を解放する選択肢をなくすミヤモト。抜けだそうとしたタカシは、ミヤモト達のリンチにあって死にます。ミヤモト達と手を切ろうとしていたヒロキですが、タカシのことで呼び出され死体遺棄を手伝わされます。

ミキはミヤモトに何度も女を解放するよう進言していたフルヤと接触。ミヤモトの幼馴染であるフルヤは、取り返しの彼が取り返しの付かない犯罪行為に手を染めることを心配していました。ミキの説得に応じて、警察に言わない条件でサチコを助け出しに行く2人。しかし、フルヤはミズノの部屋に入った所で、金属バットで頭を殴られます。そのバットがミキにも向かった所で、かばったのはサチコ。その後、ミキも絶体絶命かと思われた所で警察が突入。事件は収束へ向かいます。

取り乱して泣くばかりで、悲劇が訪れたかのようなミズノの親。ミヤモトに脅されたといい、自分が未成年であることも計算して罪を逃れようとするヒロキ。風見鶏っぷりがいっそ清々しい。

結局、少年院に入ることになったヒロキは、サチコの死を願います。2人死ねば、ミヤモトが二度と出てこれなくなるから。サチコが助かったことを聞き、心の底から安堵の表情を浮かべるミヤモト。弁護士は良心が残っていたのかと思いますが、死刑を免れたことを喜んでいるだけ。

このやるせない心理描写まで描いて、読後感は最悪。何と言っても最後に出てくる文字が「何も変わらない、何も伝わらない」ですからね。

17歳。 1 (アクションコミックス)

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17歳。 2 (アクションコミックス)

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17歳。 3―女子高生監禁殺人 (アクションコミックス)

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17歳。 4 (アクションコミックス)

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