ロクダイ / コージィ城倉(1)、霧隠・デレック・大洲圭・蝦名が東大に進学して6大学野球、蝦名は四浪、どうしてこうなった

タイトルは「ロクダイ」ですが、「オレはキャプテン」の続編となります。ロクダイとは6大学野球のこと。

「人気の6大学」に対して「実力の東都」なんて言われたりするように、東京の大学における硬式野球部には2つのリーグがあり、東都リーグは入れ替え制で強い大学だけで戦うのに対して、6大学は常に同じ大学だけで戦うリーグ。でも、6大学出身のプロ選手がたくさんいるように、野球のできる学生にはブランドとして絶大な人気がある大学でもあります。6大学は早稲田、慶應、立教、明治、法政、東京大学で構成されますが、入れ替わりは一切なし。ただ単にこの6校で始めて、それが伝統か何かになってずーっと続いているという代物。

6大学で異彩を放つのはもちろん東大ですね。残念ながらぶっちぎりで弱い大学になります。ただ東大の野球部って、普通の「野球ばっかりやってきた」人たちを除いた野球部の中ではかなりの強さを誇ります。私が居た旧帝大だけ集めた七大戦っていう大会では、どの部活にあっても東大が相当の強さでした。勉強ができるわけじゃなくて、すべてができて優秀な人が行くのが東大なんだな、と感じたのを覚えています。もちろんスポーツだけやってきた人には到底かないませんけどね。

1巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

西東京大会決勝で美波里高校と対戦して、甲子園出場を勝ち取った後どうなったか不明ですが、霧隠は東大に進学していてキャプテンを引き受けることに。このとき教育学部3年。デレックも同じ学年、同じ学部に進学しています。

ここで霧隠とデレックの受験時代が描かれます。甲子園出場するもどの大学からも推薦の話がこなかった霧隠。原因はやはり体格や性格でしょうか。その野球ばっかりやってきた大学を見返すためにデレックとともに東大に進学することに。すべて東大野球部監督の壮大な計画の一端。もともとデレックは高校進学時に東大も狙える偏差値を誇っていました。父はバイリンガル、母や塾経営者という教育に理解のある家庭でもあります。デレックの徹底教育2ヵ年計画に乗っかったのが霧隠。プロ中のプロの塾講師と現役東大生による超優遇授業で勉強漬けの生活により一浪で2人とも東大に合格。

東大に進学したのは霧隠とデレックだけじゃありません。圧倒的な野球センスを誇りながら、女子であるという理由で甲子園の土を踏めない大洲圭も同じく一浪で合格しています。最高球速135km/hの女性投手として東大野球部デビュー。

霧隠・デレック・大洲の3人で終わりかと思いきや、もう一人投手がいました。豪速球投手の蝦名。なんと東大理一を目指して四浪中！。「ロクダイ」の1巻では、蝦名がこんなことになってしまった衝撃のエピソードがメイン。

甲子園出場を決めた朋王は、自軍の攻撃時に一塁側へのファールフライを取りに来た選手との衝突により、蝦名が一球も投げることなく左腕を骨折して敗北していました。その骨折によりスーッと引いていったスカウトたち。ここから蝦名が、霧隠とデレックと同じように馬鹿になって東大を目指すことに。理一を狙ったのは「暗記が少ない」から。大量の暗記を必要とされる文系では何年経っても合格できないとみなされました。同じように徹底教育されますが、最初は東大のセンター足切りラインすら突破できません。執念のセンター対策と、ヤマを張った二次試験対策により5回目の受験でとうとう合格を勝ち取る蝦名。

霧隠とデレックが4年、大洲が3年、蝦名が1年という布陣で6大学野球を戦うメンツがとうとう揃います。全身の筋肉がほとんど抜け落ちた蝦名の入学時点での球速はまさかの109km/h。高校時代は154km/hまで出てたんですけどね。苦難の受験を乗り越えた蝦名には、筋トレ地獄が待っていました。2ヶ月で体重を8キロ増やして球速は119kmに。徹底的な体幹トレーニングと、インナーマッスルの強化、一日六回の食事と至れり尽くせりの環境で常人を凌駕した速度で筋肉を取り戻していく蝦名。125km/hまで戻った所で、冒頭でもちらっと述べた七大戦で登板することに。

野球漫画で受験勉強の話が出てくるとは思いませんでした。悲しすぎる蝦名の甲子園出場から東大への進学。人生どうなるかわからないにしても、破天荒すぎて面白いですね。