星屑ニーナ / 福島聡(1)-(4)、ロボットの星屑と破天荒な女子高生ニーナを巡るタイムスキップコメディ

「機動旅団八福神」の福島聡先生によるSFマンガ。4巻で完結という短さで、一度に読むには丁度いいボリューム。Fellow!とハルタに連載されていました。

SFといっても幅は広いですが、タイム・スキップ・コメディとでも呼ぶべきな、3年後、6年後、60年後と1話進む毎にどんどん年月が過ぎ去っていきます。人間は寿命で死んでしまいますが、ロボットは死にません。タイトルになっている星屑ニーナというのは、主人公のロボット「星屑」と、ロボットのご主人である女子高生のニーナのこと。

太陽はニコニコしていて、月はタバコを吹かしていて、宇宙雷魚や宇宙メダカが宇宙空間や地球上を泳ぎ回る不思議な世界で繰り広げられる星屑の成長譚。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

人間に仕えることを目的に作られたお手伝いロボットの星屑は、電池で稼働しますが一度でも電力が切れるとすべての記憶を失ってしまいます。記憶を失いさまよっていたところを拾ったのがニーナ。主人はいやだといい、星屑の先生になって成長を手助けします。ただのお手伝いロボットだったのに、独自の教育を授けられる星屑。地球に宇宙雷魚が来訪した時には、ペットショップの主人からエサをもらって雷魚と戯れたりする破天荒な女子高生。その後ニーナは結局、旦那のタイヘーと幸せに孤島で暮らしながら天寿を全うします。

早々にニーナが亡くなってしまいましたが、物語は続きます。次なる星屑の主人はルイという男の子。星屑に見せられたニーナの映像に恋をしてしまいます。もちろんその恋は成就しないので、ニーナを忘れるため、本当の愛を見つけるためにパイロットに。目的は星屑の映像にも出てきていた宇宙雷魚と出会うこと。ニーナの人生をトレースするかのように宇宙雷魚の口の中に飛び込みます。ルイに惚れていた同僚のポポは、星屑の手助けも得てルイを追って宇宙雷魚の口の中に。ルイを無理やり引きずり出します。その後、結ばれるルイとポポの2人。

ニーナ→ルイと来て次の星屑の主人は、ルイとポポの娘ピッピ。ある日、ピッピ達を乗せた宇宙船が宇宙雷魚の群れに襲われます。崩壊する宇宙船、宇宙雷魚と戦うルイとポポの手によってただ一人脱出させられ、冷凍睡眠によって千年後の未来の地球に降り立ちます。地球は進化したカブトムシが人類に替わって支配する星になり果てていました。カブトムシと対立して一人寂しく暮らすサソリと仲良しになったピッピは、人類が宇宙雷魚によって滅ぼされたことを知ります。地球を歩いていると、何故か温泉に使った爺さんに出会い、その爺さんからタイムスキップできるメガネを受け取ります。そのメガネを使って、最初に地球に降り立って餌付けされた宇宙雷魚を倒すためにニーナの居た時代に戻ります。ニーナの時代に戻る前に、パパとママが生きていた時代の星屑もピックアップして。

ニーナと、この世界における将棋に相当するパラレルという競技に打ち込む男の子ビリーと、ピッピと星屑の3人+1体で宇宙雷魚の腹の中に飛び込んで心臓を破壊して宇宙雷魚を撃破。宇宙雷魚を倒すと歴史の改変によってピッピは、その世界から姿を消しました。その世界に残された星屑は、ビリーに付いていくことに。ビリーは、宇宙雷魚が暴れたことで破壊された町の瓦礫除去を手伝っているときに、好きだった女の子を助け、親しくなります。

ニータとタイへー、ルイとポポ、ビリーと彼女、彼らを見て「本当の愛」とは何かについて考える星屑。この世界のニーナに会いに行きます。そして一言「結婚してください」と。「ボクにとって好きとは、そのヒトのことを毎日考えること」「ボクは3万7千6百27日間ニーナさんのことを考えていました」という言葉。そして「考えるだけではダメ」と言い、ニーナを追って海に飛び込みます。もちろんロボットなんで、海なんて入ったら一発でアウト。ニーナが星屑を助けだすと、なんとロボットから人間に。

星屑を人間に変えたのは神様。宇宙雷魚の餌をニーナに渡したペットショップの店主、ピッピに時間を遡るメガネを渡したおじいさん、ビリーがパラレルで戦っていた勝てば願いを叶えるギロという老人、全部神様ですね。「いろいろやったから、おわびに彼をに人間にしてあげちゃった」なんて言っちゃういいかげんな神様。無人島で2人暮らすクラス星屑とニーナが描かれて物語は終わりとなります。

時間が飛んで、ニーナが早々に天寿を全うした時は、どんな風に展開するのかなと思ってましたけど、最後の最後にニーナと結ばれるとは。