九井諒子先生の短篇集。タイトルにもあるように7つの話からなります。相変わらずの九井ワールド。
竜に悩まされる戦争ばっかりしている人たち、人魚と関わってしまった野球少年、野山の神の世話をする小学生、狼男の育児で悩む母親、うますぎて掛け軸から飛び出てくる絵を描く絵師、皇帝の命を救うために竜の鱗を探す皇子、超能力を使いこなす犬谷家の人たち。
「竜の学校は山の上」と違って全ての話が独立して、独特の面白さ。特によかった狼男と皇子の話のあらすじを残しておきます。
あらすじと感想(ネタバレ注意)
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狼は嘘をつかない
母親によるエッセイ風マンガから。息子が狼男症候群と診断されてしまって、あれやこれやと育児に悩む様子が描かれます。満月が近づくに従って幼い子供であってもありあまる元気を発散する男の子に。支援センターによる的確なケアもあり、悩みながらも頑張って子育てしている様子。
このエッセイ風マンガが前振りで本編はその子供のけー太が大学に進学してから。とんでもない興奮とその後の倦怠感、全身から生えてくる毛に悩まされつつも大学に通う日々。しかし、ちゃんと続けられないこともあってバイトはあえなくクビに。病気のせいでこれまで修学旅行にも行けず、運動会に出られず、友達も続かずと踏んだり蹴ったりな人生。
そんなけー太が大学で女性から親しげに話しかけられますが、病気でハイテンションになっていたときのことなので思い出せません。その女性から言われたことで、勘違いから母親に反発してしまいます。誤解が解けて母親と仲直りできた所で、その女性に自分が狼男出会ったことを告白。どうやらその女性は飼い犬とけー太が似ているという話をしたところ、突如母親の話をしつつ頭を撫でること強要してきたことから、けー太のことを可愛い男の子だと思っていたようです。タイトルにもあるように記憶にないハイテンションのときも嘘を付かないけー太の姿にほっこり。
子がかわいいと竜は鳴く
病に伏せる皇帝のために竜の鱗を追い求める皇子。その皇子の道案内を駆って出るヨウと名乗る女性。ヨウは夫と息子を数年前の事故で亡くしたあと竜の住む山の麓に流れ着いていました。そのため、竜が住む山についても詳しい様子。竜の巣に至る道はけわしく皇子の部下たちは次々に姿を消していきます。怪しい表情のヨウ。部下たちがヨウを問い詰めようと着物に手を掛けた時に、暗殺集団に所属している証拠である刺青が見えます。部下を全員殺して皇子と1対1になるヨウ。
皇子は自分のことは好きにして構わないから、竜の鱗を村にいる兵士に渡して欲しいと請います。ヨウは息子を王に殺された恨みを晴らさんとしていました。皇子を直接殺すことはせず、竜のうろこ取りを見守るヨウ。皇子は竜が産卵のために巣を作っていることから、卵を人質にすれば鱗を取れると考えました。しかし、ヨウはそれを許しません。かつて息子を殺された立場から竜の卵を守りたいと考えたんですね。
結局竜の卵は割れてしまって、割れた卵を見ると竜はどこかに飛びさってしまい、鱗を取ることはできなくなります。その様子を見て皇子を殺せないヨウ。せめて割れた卵の中にいる竜の子の供養だけでもしようとするヨウですが、その卵の中から竜の子が出てきてヨウを母親と勘違い。2人で竜の仲間を探すたびに出ます。鱗を取れなかった皇子ですが、皇子のみを心配して追ってきた兵士たちが竜の巣で鱗を発見します。
非常に徹しきれないヨウの様子に来るものがありますね。
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