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続・「育休世代」のジレンマ〜女性活用はなぜ失敗するのか?〜 / 中野円佳、家事・育児をしてくれる男性について

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「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)

私が本書を読んでまっさきに感じた感想は、中野円佳氏のもとにも多く寄せられているようです。

toyokeizai.net

私が研究や取材のメインターゲットとしているのが、高学歴でキャリア志向の強い女性たちということで、よく聞かれる質問が次のようなものです。

〔1〕(一般論として)女性活用を進めたいなら、専業主夫を増やすしかないのではないか

〔2〕(女性個人に対して)どうしてそんなにキャリア志向が強いなら、家事・育児をしてくれる男性と結婚しないのか。あるいは、男性側に融通を利かせられるように交渉できないのか。

それぞれに対する中野氏の解答は〔1〕専業主夫を増やすのは負担の行き先が男性に変わるだけで本質的な解決ではない、〔2〕キャリア女性ゆえにキャリアに重きを置く男性をパートナーを選好してしまう、ということでした。

中野氏が変えたいと思っている「母親に優しい」会社が日本で増える中では、多くの場合、夫の仕事を優先にした方が夫婦の選択として有利になってしまう構造がキャリア女性の足かせになっていることには同意しますが、

これに加え、キャリア志向の強い女性は「男(夫)も女(自分)も男並みに」を求めてしまうところにジレンマがある、と私は分析しています。こういった女性を拙著『「育休世代」のジレンマ』では「マッチョ志向」と呼んでいますが、競争社会に対するコミットが強いゆえに、子育てのために多少仕事を犠牲にしてくれるような夫よりは、経済的な意味で「競争力のある」夫を選んでしまいます。

女性から「仕事を見越して家事育児をしてくれる夫を選ぶというのは、寿退社を目指して収入の高い男性を探すのと同じくらい打算的で嫌な女のイメージがある」という意見を聞いたことがあります。ここには一種の「女ぎらい(ミソジニ―)」を含んだマッチョ志向ゆえに、ライフイベントに対して戦略的になること自体への嫌悪感もあるのではないかと思います。

「競争力のある」夫を選んでしまうのはキャリアを追わない女性も同じなのではありませんか? 先に本質的なことを言ってしまうと、家事・育児は横に置いて自分よりも年収の低い男性をパートナーに選べば、本書でジレンマとされるキャリアと育児の両方を取る社会になる道が開けてきます。しかし、中野氏がその解決策を提唱することはないでしょう。なぜなら、女性の脳には「競争力のない」夫と一緒に成ることは不幸なことだ、というソフトウェアが標準インストールされているからです。

中野氏は徹頭徹尾、キャリア女性にウケる記事・書籍を書くことをビジネスにしているので、専業主夫を増やすとか年収の低い男性を選ぶといった屈辱的な解決策を示すことはない→男性が多数を構成する日本式社会が悪い、という結論に持って行きます。それはそれでいいと思います。批判したいわけではなく、パートナー選びについて私の意見を書いて補足します。

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問題は、キャリア女性が家事・育児をしてくれる男性を選ぶことについて、です。キャリア女性が魅力を感じるのはキャリアを持つ男性、とありますが男女の稼得能力差がさらに縮まっていく未来では確実に家事・育児能力をアピールする男性が増えていくことと思います。男の立場からはっきり言っておくと、この家事・育児能力をアピールして他の男と差別化しようとする男は100%地雷です。

自分の遺伝子をバラまくだけの男に家事・育児をうまく実行するソフトウェアはインストールされていないので、この手の男は普通の競走では負けてしまうことを悟っている卑屈な精神性を持っています。稼ぐ男、仕事のできる男の方が家事・育児の能力は高いことは間違いありません。できていないように見えるのは、時間的コストやリソースの問題で手が回っていないだけ。

私がオススメなのは、稼ぐ金額そのものよりも仕事に対する責任感の高い男を選ぶことです。そんな男を選んだら、仕事最優先で家事育児なんてしてくれないんじゃないの、と思うかもしれませんが相手の主張を尊重してくれるのは、目の前の仕事を責任感を持って取り組む男だけです。基本ソフトウェアがないので、すぐさま家事をしてくれるようにはならないでしょうけどね。少なくとも2人の子供であれば、男性側にもちゃんと育てる責任がある、ということは理解するはず。

とりあえずキャリア女性の希望に沿う形でキャリア・育児・稼ぐ男のトリレンマをなんとかしたいなら、まずは家事・育児を全部外注できる社会を目指すことです。まさか、どうしても男に家事・育児をして欲しい、という項目まで加わったテトラレンマじゃないですよね。その上で育児は2人が責任を負ってこなさなければならない、という意識を備えた人をパートナーにすれば泣く思いをするキャリア女性は少なくなるでしょう。

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)

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