DEAD Tube / 山口ミコト / 北河トウタ(2)、視聴数を稼ぐためには犯罪すら許されるデッドチューブのルールが明らかに

DEAD TubeはYouTubeをもじった動画投稿サイト。なんでもありの動画投稿サイトを巡って、映画研究部に所属する高校2年の町谷智浩が殺人ゲームに巻き込まれていきます。原作山口ミコト先生、作画北河トウタ先生の学園スリラー。山口ミコト先生は、トモダチゲームの原作者。

同級生で水泳部の真城舞に「5日後に監督が自殺する」と言われ、映画研究部の監督である大島佐柳を撮影することになります。そこから起こる悲劇の数々。

樋口・谷口・多友の3人が次々に殺されていき、「犯人は真城だ」という監督。屋上で町谷が真城を殴り殺したところで「カット」という声が響き、囚われていたはずの先輩たちが登場。

2巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

水野マキが何もわかっていない町谷にデッドチューブについて説明を始めます。動画を投稿して視聴数を競うYouTubeと同じようなサイトですが、違うのは視聴者数に応じたケタ違いの報酬と視聴者数を稼ぐためには何をやってもいい点。

そして、突き落とされて死んだはずの監督が屋上に現れます。町谷を陥れたのは「映画にリアリティを出すため」と語る監督。全員がグルになって絶望した町谷を撮る、という目的でした。町谷が死んだのを確かめた3人は確かに死んでいて、「水野を犯す役をやらせてくれるなら死んでもいい」というセリフをあえて曲解して殺されていました。水野は女優として報酬と引換に、強姦される役と無邪気に先輩を慕う役を演じていたことを語ります。

そこまで語った上で町谷の絶望した言葉を聞いてから自殺を促す監督ですが、おもむろにビデオカメラを取り出す町谷。そして、死んでいなかった真城が「綺麗に撮ってね」と言いながら、全員を次々に殺していきます。前巻で出てきたどうしようもない違和感、という部分で送られてきた画像が合成であることから、監督が嘘を言っていることに気づいた町谷は真意を確かめるためにあえて、この流れに乗っかっていたんですね。真城を殴ったバットは小道具で、真城はまったくの無傷。命乞いする監督を突き落とし、最後まで撮影する町谷が下半身を興奮させているあたりで、かなりこのマンガの病んでる感が増幅されます。

多数の死傷者を出すも、まるで事件なんてなかったかのように監督が部員を巻き込んで自殺したことになっていて、説明を受けるために真城の家に行きデッドチューブの厳密なルールを知ることに。視聴数1つに付き10万円という大金が入ってきますが、投稿した動画の視聴数がビリになった時には投稿者全員分の「費用」と「罪」を背負うことになるというゼロサムゲーム。ビリにならなければ殺人さえ他人におっかぶせることができます。この人が次の生贄と語る真城のパソコンのディスプレイには、ベツキエリという女性の顔が。「この女を一週間撮影して視聴数を稼げ！」と書いています。

一週間後、担任が急遽移動になって赴任してくる別木エリという教師。撮影の気配を感じ取る町谷、いまや全員がスマートフォンを手にしていていつでもどこでも動画撮影は可能。別木エリに向かって堂々と「経験人数は？」と問う三輪という女子生徒を詰問するとデッドチューブにそのときの質疑を投稿していたことを認めます。

最初はしょーもない三輪の動画が1位だったんですが、翌日別木エリの家中にバラの花を敷き詰めて驚く様子を撮影した動画が1位を取ります。徐々に下がっていく三輪の順位。三輪はデッドチューブでビリになった時に何が起こるのか知りませんでした。ビリにさえならなければ、費用も罪もかぶらなくてよいのでガンガンお金を使った動画を撮ることもできます。バラはそれですね。しかし期間の1週間で視聴数を争って、動画の内容はどんどんエスカレート。4人組の男子生徒が集団暴行して、その動画を撮ろうとします。町谷に助けを乞うた三輪は町谷の入れ知恵でその暴行の様子を収録して投稿しようとします。三輪にアドバイスをしているように見えて、怪我されようとしている別木エリに興奮する町谷。こいつが一番ヤバい感じ。

別木エリが、自分がデッドチューブの生贄になっていることを知りながら、あえて引き受けているのは理由があるんでしょうね。何かの罰でしょうか。真城が別木と2人きりになって何かを話していたのも、今後の伏線になりそうですが、おそらく真城がいい動画を撮るための仕込みなんでしょう。

1巻に比べるとだいぶスッキリと設定が分かって来ました。警察すらも意のままに操って犯罪を押し付けられるデッドチューブ。みんな知っててもおかしくないのにまったく知らなかった町谷と、あまりネットに精通してなくてルールすらちゃんと把握しない三輪のような生徒も知っているという点がちょっと引っかかりました。