少年Y / ハジメ / とうじたつや(8)、明かされるユズルの過去と最期の選択

理不尽な選択を迫られる少年Yの最終巻。蘇ったクラスメイト達がグッズを使ったゲームを仕掛けてきましたが、すべて退けています。残るは黒幕カミサカトウヤのみ。貝殻に封じられていたユズルの記憶も戻ってきています。不思議な祠に入ったユズル、ワビコ、カミサカトウヤに何かが起こってユズルからは記憶が失われ、カミサカトウヤはユズルに選択を迫ってくることに。

柚希がワビコに仕掛けられたゲームの続き。ゴール手前まで来て選択を迫られます。死んだはずの友人、萌が対向車に轢かれそうなところで倒れています。幻影かもしれないのでゴールを狙うか、飛び出して助けるかのチョイス。

8巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

ワビコが取り返そうとする箱を萌の近くに投げ込んで様子を見る柚希。車が幻影でないなら、ワビコが箱を取りに行くと踏みました。しかし、ワビコは微動だにせず。柚希が最終的に選んだのは萌を助けるという選択。結局車も萌も両方厳格だったんですが、ワビコが自ら柚希に触れてゲームクリアとなります。

ワビコが箱を開けると中にはグッズ、棒の先に棘付き鉄球が取り付けられています。特別なグッズということで、ユズルと匡の2人には秘密にしておいて「あなただけの判断で使ってほしい」と言われる柚希。そのままユズルの家に行き作戦会議。ユズルの戻ってきた記憶を頼りに祠のあった場所に行くことになります。ユズルの家を訪れたワビコが何かに気付いたかのような描写が。

山に行き祠を見つけると光を放って入るよう誘ってきます。光を抜けると巨大な草原に出ました。これまで死んだクラスメイトや担任の人形が落ちていて辿ると黒幕、カミサカトウヤのもとに。「ワビコは間に合わなかった」と語ります。ワビコの巻いていたマフラーは魂をとどめて置けるグッズで波長の合う人の体でしか使えなかったんですが、その力も限界があったようです。

カミサカは最後の記憶の貝殻をユズルに渡し、事情の分かっていない匡と柚希にあの日何があったかを語ります。屋敷を訪れてグッズの人形に案内された3人は大量のグッズが置かれた倉庫に行き、選択を迫られました。カミサカトウヤとワビコが檻にとらえられ上空からは剣山。突如としてユズルの前に命の選択が突き付けられます。足元にあるスイッチを切り替えてカミサカトウヤかワビコ、助ける方を選ばなければなりませんでしたが、その場から逃げ出してしまいます。

スイッチはデフォルトでカミサカトウヤに入っていて、ワビコが剣山に貫かれて死亡。ホームレスから生贄が必要になるかもしれないことを聞いていたカミサカトウヤはいざとなればユズルをあてがうつもりでしたが、目論見が外れます。ワビコはカミサカと出会ったときのことを思い出します。死神と呼ばれる蛇が出てくる噂のある屋敷での出会い。ワビコもまた死にたがっていました。

ワビコが死んだあと、そこにあった鹿の角のような棒でユズルを殴るカミサカ。この棒が記憶を貝殻にするグッズでした。ワビコを生き返らせるグッズを探しますが、そんなものはなくあったのは魂をとどめて置けるマフラーだけ。

という経緯でしたが、やっぱり逆恨みですね。ユズルに非はない。そんな抗議もむなしく最後の選択が始まります。2つの口を持つ化け物が登場。カミサカはあれこそ本当の神と語り、その白唇に人形を投げ込めばクラスメイトが生き返るといいます。ポケットからクラスメイトの姿をした人形を出すカミサカ。そこには匡の人形もありました。テーブルには3つの人形が並べられます。匡の人形、残るクラスメイト全員をくっつけた人形、そして最後がユズルの姉！の人形。匡と柚希は、説明を聞かされたうえで何もできないようバリアで追い出されます。

白唇を開けるには誰かを黒唇に投げ込んで犠牲にしなければなりません。黒唇に投げ込まれると、死ぬだけじゃなくその人がいた記憶すら奪われます。理不尽な選択にキレてカミサカに殴りかかるユズル。ボコボコにしますが、きっちりやり返されます。ユズルはただ殴りかかっただけじゃなく、カミサカのポケットからユズルの人形を抜き取っていました。会話の流れから、ユズルの人形も作られていたことを把握。「これが僕の選択だ」と言い、自分の人形を投げようとします。それを止めるカミサカ「逃避だ！自暴自棄になって選択を逃げているだけだ」と言います。それでも人形を投げようとするユズルでしたが、割って入る人物が。例の鉄球が付いたグッズを持ったワビコでした。あのグッズは「グッズを壊せるグッズ」、バリアを破ってユズルの姉の人形を投げ込みます。

取り乱すユズルに「あなたに姉はいない」と話す柚希。家で感じた違和感は、どうみても3人家族で姉が暮らしている形跡がないことでした。カミサカにとって姉のような存在だったワビコを失った痛みを味わってもらおうとグッズで記憶を植え付けたことを自供するカミサカ。しかし、姉といた記憶が抜け落ちた今、その言葉が真実かどうかすらユズルは感じ取れなくなっています。ゲームが終わって崩壊する世界から出ていく3人、カミサカはその崩壊で闇の中に落ちていきます。

最後はワビコの幽霊と出会い、よそよそしくなってしまった匡と柚希に「ありがとう、正しい選択をしてくれて」と語るシーンで終わります。柚希の選択を正しいと信じるという選択、これはチョチョイのチョイスですよね。