怨み屋本舗 EVIL HEART / 栗原正尚(2)(3)(4)、寄木警部の娘が怨み屋に入社、首にトカゲタトゥのEVIL HEARTが登場

怨み屋本舗の第5部、底辺で生きる人を悪の道に引きこむEVIL HEARTとの戦いがメインになりそうな新章。

底辺YouTuberを懲らしめた後は、沖縄支店の相果川と上海に飛びます。目的は、寄木警部を殺した中国人2人への復讐依頼と、留学生としてホームステイして家主と性的な関係になった後にお金を巻き上げるシェンや飲食店の中国出店詐欺を働く間津竹への報復をこなすこと。

3者が繋がっていて、裏には犯罪に便利な情報をインターネットを介して提供していたEVIL HEARTの存在が見えます。

2巻から4巻までのあらすじと感想(ネタバレ注意)

上海編

ホームステイ詐欺を働いていたシェンに接触した怨み屋は、間津竹の情報を引き出します。シェンは間津竹に上納金と称して家族を盾に脅されて金を巻き上げられることを恨んで、殺し屋に間津竹殺しを依頼しようとしていました。怨み屋・相果川・十二月田の3人で、寄木を殺した趙と劉の2人をマンホールに沈めて始末し、最期の標的である間津竹をシェンに呼び出させます。

日本と中国をまたにかけて犯罪行為を働く間津竹は、「犯罪で日中友好化」と豪語します。その発言を聞いた怨み屋は、情報屋のクラッキングで口座の資金を全額慈善団体に寄付させます。さらに中国のマフィア蛇頭の口座から盗んだように見せかけてシェンと間津竹の口座に入金して、蛇頭に2人を始末させます。これで、上海出張の依頼はコンプリート。

寄木家族編

上海出張を終えて、寄木警部の家族に近づく怨み屋。娘の桜花18歳フリーターは、父親譲りの正義感で夜な夜なチンピラ狩りを行なっていました。妻の葉華は、3000万円もの大金を払って夫を殺した中国人を殺すよう依頼していましたが、裏では不倫をしていて夫を邪魔だと考えていました。趙と劉を300万円で雇って夫を殺させるも、逆に2人にその殺しでゆすられるようになったために怨み屋に依頼していたというのが真相。

その真相を知った怨み屋は、桜花に全てを話して仲間に引き込みます。母の不倫相手である雫緑に復讐を果たさせますが、最終的に母と雫緑は劉の兄に殺されます。怨み屋は、弟を殺されたことを知れば、メンツを守るために日本まで来るだろうという計算で情報を兄に流していました。母の死が怨み屋の手引きであることを知らず、怨み屋に加わってしまう桜花。

桜花は、首にトカゲのタトゥのある男を追っていました。幼馴染が死ぬ直前に「首にトカゲのタトゥのある男にストーカーされている」という電話を受け取っていたため。そのことを父に話すも、幼馴染の死は捜査の結果、自殺と断定されたことから1巻にあったような反抗期に繋がっていました。

償いたい男編

生活保護を不正受給しつつ、子供を使って同級生の親を恐喝して金銭を巻き上げるシングルマザーを退治する話を挟んで、その首にトカゲのタトゥのある男の話に。

交際相手とその子供に暴力を振るって、刑務所に入っていた伴港雪次(ばんこうゆきじ)という男が刑務所から出所してきます。シングルマザーは最終的に警察に逮捕されることになりましたが、口座の金は架空口座と思われるバンコウユキジ名義の口座にEVIL HEARTの手によって国に差し押さえられる前に送金されていました。

伴港は出所して早速、暴力を振るっていた母子のもとに現れます。前科者相談所掲示板というEVIL HEARTが設置したネット上の掲示板を利用して情報収集。償いたいと称して自分の要求が受け入れられないと暴力に訴える伴港は、母子と再婚を考えて交際していた男を全治3ヶ月の重症に追い込みます。

伴港が逮捕されなかったのは、EVIL HEARTが作った鉄壁のアリバイがあったから。伴港の前に首にトカゲタトゥのあるEVIL HEARTが姿を現します。あごひげのある暗い雰囲気を漂わせる男でした。出所した人間を支援していると称して伴港に銀行口座を作らせて、通帳と印鑑を受け取って犯罪に利用する男、というところまで判明母子と、その交際していた相手から依頼を受けて怨み屋は伴港を始末します。

最期は、飲酒してひき逃げ自殺人を起こした若者が、その罪を他の大学生に着せた事件。寄木の部下であり、怨み屋とのつながりもある秦野が登場します。警察が真犯人を割り出す前に、怨み屋に加害者への処罰を加えてもらおうと情報を漏らす秦野。その意を受けて、被害者と加害者(という工作を真犯人にされていう)の2者が怨み屋に依頼するよう仕向け、見事桜花の活躍もあって真犯人4人組を成敗します。

犯罪行為を助長して美味しい汁を吸うEVIL HEARTが出て来ましたね。EVIL HEARTの犯罪行為の全貌がまだまだ見えてきていませんし、当分は直接対決とはならなさそうです。