吊金先生 / 加茂ユウジ(2)、吊金先生が熱血教師から変貌を遂げた過去が明らかになる最終巻

あらゆる教育問題をお金の力で解決して、「この世はお金が全て」であるという人生で一番大切なことを教育してくれる吊金先生。

問題児ばかりが集まる2年B組に賞金表を貼り出し、試験で学年1位になったら100万円というニンジンをぶら下げて学力アップを図るなんてのはまだまだ可愛い物。生徒に薬物の誘惑の魔の手が迫ってきたら、薬を売る大元締めすら買収して全部小麦粉にしてしまう資金力を見せつけて問題を解決します。

まだまだ続きを読んでみたかったんですが、残念ながら2巻で完結となりました。

2巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

吊金先生が相手をするのは、問題だらけの生徒たちだけではなく先生も。「ルールを守れない奴はクズ以下だ」と言い切る桐生先生が、他校の生徒とケンカという問題行動を起こした2年B組の飯島に退学を迫ります。

その桐生先生が、生徒の親から金銭を受け取って成績を改ざんしていることを、雇ったキャバ嬢を使って見抜いて逆に飯島に退学を迫ることを諦めさせます。その飯島がケンカになったのは、クラスの山吹茜をかばっていたから。山吹は父親が借金を作ってしまったために、両親が離婚していて母は水商売で働いていました。そのことを知る小学校時代の同級生に絡まれていました。ここでも、金の力で両親の結婚指輪を巻き上げた借金取りを黙らせて、父親を探しだして山吹と会わせるというハートフルな一面を見せます。しかし、父親が本当にクズなら射殺するつもりで殺し屋を雇うといった抜け目ないい一面も。

最後は、生徒の中で一番の金持ちで財閥の御曹司、市原との対決となります。ここで明らかになる吊金先生の過去。熱血教師だった吊金先生ですが、娘がイジメられていることに気づいてあげられず自殺で娘を亡くしていました。自暴自棄になり、カツアゲされてイジメを受けている生徒を、娘の生命保険金で金にものを言わせて助けます。その後、焼身自殺を図るも死に切れず入院していた時に、件のイジメられていた生徒が強く立ち直って会いに来ます。

どれだけ熱血に頑張ってもイジメに気付けず、なくせなかったのにお金の力であっさりと解決できたことが転機となり、姿を消した吊金先生。戻ってきた時には、莫大な軍資金でもってあらゆる問題を解決する教師に変貌を遂げていました。

金の力で友達も部下も意のままに手にしてきた市原により、ボロボロにされる吊金先生。自慢の金で対抗してみろと挑発してきますが、「生徒に手は出さない」と頑なに反撃を拒みます。市原が部下の裏切りにあい、身代金目的で誘拐された時に市原を助けるためにその資金を使います。「お金は使えば無くなる」といい、市原を助けるときにいろいろ違法な行為をしたために逮捕されます。その吊金先生に感化されて、お金が全てじゃないと学ぶ市原でした。

そして、最後は逮捕されて刑務所に入れられて、刑務所の人たち全員を金で買収するシーンで終わります。なんやかんやで最後の最後まで、お金という展開でした。面白いネタだったんですが、やはり話をふくらませるのが難しかったのかも知れません。加茂ユウジ先生の次回作に期待します。