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テシェキュルエデリム〜ありがとう / 石川雅之、日本とトルコの架け橋となるエピソードを描く短編

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テシェキュルエデリム?ありがとう (モーニングコミックス)

「もやしもん」の石川雅之先生の読み切り作品。モーニングで32ページの読み切りで出た後に、反響からか短編集に収録ではなく、1話のみで一冊の電子書籍「テシェキュルエデリム〜ありがとう」として出版されました。108円でサクッと読めます。

人間の人生は選択の連続。しかし、時には選択肢が1つしか用意されていないこともあります。その選択肢を選ばないことは、すなわちあきらめること、という語りで人間の営みをはるかな高みから眺める月が見た一択の選択肢を選んだ人が描かれます。

日本とトルコの架け橋となった出来事にまつわる物語。「Tesekkur ederim」はトルコ語で「ありがとう」という意味があります。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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嵐の夜、命がけでがけを上る男の姿がありました。後ろは荒れに荒れた海で引き返す道はありません。灯台を目指してひたすら上ります。その男が発端となって、大量の遭難者がいることがわかり、村総出で救出に当たります。言葉の通じない遭難者たちは、オスマントルコから来たエルトゥールル号の乗組員。かの有名な「エルトゥールル号事件」ですね。

救出に当たった村人たちは、言葉は通じなくても困っている人を前にして、助けるという選択肢しかありませんでした。蓄えている米も芋も正月用の鶏もすべて出して彼らを助けます。新聞で報道されたことにより、多くの義援金が集まり、島民が救助した69人は一人もかけることなく村を後にします。

時は移って、1985年。イラン・イラク戦争でサダム・フセインがイラン上空を飛行禁止区域にして、無差別に航空機を攻撃すると宣言した時間が迫っていました。イランに取り残された邦人およそ200人が脱出できなくなっていました。

自衛隊を出せない日本は、駐イラン大使の野村氏と伊藤忠商事の森永氏のつてでトルコ政府に日本人の救出を依頼。これも有名な事件ですね。助ける、という選択肢がある以上、それ以外ないということ。

飛行機で日本人がイランから脱出する中、陸路でイランからトルコに向かうトルコ人の姿もあります。

「『我々が特別ではなく誰でも困っている人がいれば我々と同じ様にするに決まってる』と言ったそうだ」「俺たちもそうするんだ」「エルトゥールルの恩を俺たちが返せるなんてテンション上がるぜ」

トルコの国旗に描かれているのは月と星。石川先生が描く太陽と月の国の友情の話。さらに後日談として、トルコで地震が起こったときに真っ先に義援金を送ったのは、あの飛行機の乗客たちだったというエピソードがあります。

時々テレビなんかで紹介されると恩返しと捉えられてて目が曇っていると感じるエピソードですよね。そこに助けられる人がいたら、助けるしかありませんよね。

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