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銃夢 Last Order / 木城ゆきと(19)、イブニングでの打ち切り?終了の掲載から特に書き足しなどもなく残念な形で終了

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銃夢 Last Order(19)<完> (KCデラックス イブニング)

銃夢 Last Orderが19巻にてめでたく?完結しました。銃夢から数えると約24年間かけて完結したことになりますが、銃夢が一度終わった時よりもさらに投げっぱなし感が強くなりフラストレーションのたまる終わり方になってしまいました。

このマンガを簡潔に説明するのは難しいですね。ストーリーを一旦脇において、このマンガの歴史について紹介します。

まず銃夢が1990年から1995年にかけてビジネスジャンプで連載され、9巻で完結しました。作者によると、このときの結末に納得がいかなかったようです。新装版コミックスでは結末が差し替えられ、新たに続編である銃夢 Last Orderの連載が2000年にウルトラジャンプで開始されます。

このウルトラジャンプでの連載は、ちょうど連載100回目で編集部からセリフの差し替えを求められたことで揉めてしまい、講談社への移籍となってイブニングで連載されることになります。作者ブログに苦悩が現れています。一部引用しますね。

しかし逆に疑問が生まれます。 なぜ「狂ってる」「狂気」がO.Kで「発狂」がダメなのか。 その疑問を編集にぶつけ、なにやらごちゃごちゃ言ってましたがよく分かりませんでした。 あまりにアホらしくてここに書く気にもなりません。 編集長に至っては支離滅裂な説明であることを自分で白状する始末。

そして、重要な点は、この3点のセリフを修正することに僕が同意しなければ、 「発行権」という出版社の権利を行使して、新装版の出版は中止することになる、という事です。 本来なら少し進行を止めて、時間をかけて協議するところですが、今回はその時間もない。 24時間以内に決定して校了しなければ印刷にまにあわない、というのです。

こっちはこっちで連載の仕事を進めている最中。 しかも連載100回目で、UJ表紙イラストも描き、絶対に休めない状況。 それなのに考える時間もない。

結果から言うと、僕はセリフ3点の修正に同意しました。 「あとから追加で修正箇所を増やすことはしない」という約束と引き替えに。 そして、銃夢LO第100回目の原稿は、〆切までにきちっと上げることを僕は約束しました。 ちゃんと期日までに原稿を上げる、約束は守る、それがいつも公言している僕のプロの矜持だからです。

しかし修正に同意してからも悶々と悩む日が続き、現在は後悔しています…。 やはり修正要求は毅然とはねつけるべきではなかったかと。 その結果新装版の刊行が中止となり、銃夢LO第100回目を落とすことになったとしても、 そうするべきではなかったかと。 俺はプロとして期日を守ることを優先したが、表現者としては純粋ではなかったのではないかと。 俺が自分の作品の表現を守らなかったら、いったい誰がそれを守ってくれるのかと。 ……… だけど、仮に修正に同意せずに新装版や銃夢 LO第100回を落とす選択をしていたとしても、後悔していたと思う。 つまり、これはどちらを選んでも僕は後悔するようにできていたのです。 ………

つまるところ、今回問題にされた言葉「発狂」と、O.Kとされた言葉「狂気」は漢字1文字の差なわけです。 「発」という字がついているかいないか。 僕は電話で担当編集に問いただしました。 「今このタイミングでこんな問題を持ち出してくるということは、最悪の場合新装版の刊行中止、 銃夢LO100話を落とすことになるのも覚悟してのことなんでしょうね?」 担当編集はYESと答えました。 要するに「発がついているかいないか」という問題と「銃夢LO第100回記念と新装版刊行」が等価、 同じ重さだということです。 ………

16日に集英社に出向いて話をすることになっています。 僕としてはもう、たいして話すこともないのですが、なにか動きがあったらここで報告します。

しかしながら、結局移籍したイブニングでも打ち切りになってしまいました。打ち切りではないかもしれませんが、ずっと読んできた私には全然納得できない終わり方です。いややっぱり打ち切りでしょ。イブニングの読者層と合わなかったのもあるかもしれません。正直移籍していきなりの話が、宇宙での格闘大会のクライマックスからなので、追いつけってのも無理な話です。

超簡単なストーリー説明

銃夢は、荒廃した地球が舞台です。荒廃してはいますが、圧倒的な科学力で建造された空中都市ザレムという巨大な塔があり、その塔から出るゴミによって塔の付近はクズ鉄町として発展しています。主人公のガリィは、塔から出たスクラップの中から、サイボーグの医者であるイドによって脳髄が無事な状態でサルベージされた少女型サイボーグです。名前も記憶もなくしたガリィが、それらを取り戻し、世界の成り立ちを追い求める、というのが基本的なストーリーです。

最も重要なターニングポイントは、ザレムが世界の支配するために行う人類に対する脳と脳チップの交換が明かされるところです。記憶をコピーした脳チップという回路で置き換えることにより、反逆を防ぎ自らの支配を継続するという仕組みになっています。主人公を含めてザレムに関わった人たちは全員の脳がチップに置き換えられています。これは、チップのバックアップさえしておけば簡単に人がコピーできることを意味します。

銃夢の結末は端的に言うとザレムの支配をぶっ壊す、ですがLast Orderではザレムに至ってからを書き換えてストーリーが継続します。

ガリィは火星出身のサイボーグであり、ザレムにあるメルキゼデクという未来予測用の量子コンピュータの破壊を企てるも失敗し、地球に落とされたことが明らかになります。メルキゼデクはチップと入れ替えた人類の脳を演算・意思決定に用いるコンピュータです。未来予測と言いつつ支配者・人類に都合の良い決定を下していた、といったことが語られます。

これらの歴史の生き証人が作中一人だけ出てきます。カエルラ・サングウィスという吸血鬼です。Last Orderの過去編では主人公でした。彼女にはメルキゼデクを最初に運用していたアーサーから、唯一無制限にアクセス可能なプログラムを託されています。彼女は、これをガリィに託します。

色々あって支配者の代表と言えるムバディを打ち倒した後、なぜか舞台が地球に移ったのが18巻の途中ですね。

19巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

このエントリのタイトルでややネタバレしてしまってますが、イブニングでの掲載から特に書き足しなどはありませんでした。何かあるかなと期待していたんですが。

地上でのイドとフォギアたちの話の続きです。ケイオスと共にザレムに登りますが、ノヴァの襲来に会います。ケイオスの追い詰められっぷりがひどいです。一応ケイオスってノヴァの息子なんですよね。しかし、ノヴァ自身の裏切りによって窮地を脱するというカオスっぷり。ノヴァのコピーは生まれすぎましたね。

最後はエルフとツヴェルフをはべらせたデッキマン100号が出てきますが、こいつらをプチゼクスがぶっ飛ばして眠っていたガリィを婚約者フォギアが目覚めさせて終了です。将来を約束していたフォギアと再び会える、という展開は嬉しかったですね。

最後に、私が銃夢で一番好きなキャラクターのディスティ・ノヴァのセリフを紹介します。読んだ人はもちろん知ってるでしょうけど。プリン大好きなマッドサイエンティストです。自分の知的好奇心を満たすためにありとあらゆる人体実験を繰り返し、その結果として自分の破滅も厭わない破綻した正確ですが、どこか憎めないキャラクターです。このセリフいいですね。

ロスコー君・・・宿命というものは確かにある。人は場所、時代、環境を選んで生まれることは出来ない。 ・・・故に生まれた瞬間にそれぞれの人間の生きる条件は異なっている。これが宿命です。 そして、世界が残酷なのは当たり前です。生の始まりは化学反応に過ぎず、 人間存在はただの記憶情報に過ぎず、魂は存在せず、精神は神経細胞の火花に過ぎず、 神のいない無慈悲な世界でたった一人で生きねばならぬとしても・・・なお・・・なお我は意思の名の元に命じる。 『生きよ』と!!

銃夢 Last Order NEW EDITION(1) (KCデラックス イブニング)

銃夢 Last Order NEW EDITION(1) (KCデラックス イブニング)

銃夢 Last Order NEW EDITION(2) (KCデラックス イブニング)

銃夢 Last Order NEW EDITION(2) (KCデラックス イブニング)

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