Astral Project 月の光、消化不良に終わってしまった。誰か解説を

Astral Project 月の光は、スモーキングガンの竹谷州史先生が作画を担当しています。原作のmarginal先生は、狩撫麻礼として多数の作品の原作を担当されている方です。今は作品ごとにペンネームを使い分けているみたいですね。

スモーキングガンも読む予定ですけど、せっかくなので読んでいない過去作から読んで感想とあらすじを残しておきます。表紙からはどんな話かわかりづらいですけど、幽体離脱の話です。

肝心の面白さはというと、うーんイマイチかな。という感じです。読んでて消化不良になります。最後も結局なんだったんだ、っていう終わり方ですし。絵はとてもキレイなんですけどね。

あらすじ(ネタバレ注意)

主人公は木暮柾彦、高級娼婦を送迎するバイトをしています。物語は姉・麻美が急死したことを知らせる連絡から始まります。麻美の遺品として、最後に聞いていたCDを受け取った柾彦。そのCDを聞くと、柾彦は幽体離脱を経験します。姉の死は、幽体離脱で肉体に戻れなくなったことによるものではないか、と考えます。

CDについて調べると、アルバート・アイラーという天才ジャズミュージシャンの未発表演奏であることがわかります。なぜCDを聞くことで幽体離脱できるのかはわかりません。

幽体離脱して夜空で様々な人物と出会い、いろいろな知識を得ます。老賢者ザンバノは、ホームレスで頭に傷を追ってから幽体離脱できるようになります。ザンバノからは、「幽体離脱者はひとりだけ幽体離脱させることができる」ということを教えられます。彼はその力で娘である美佐を幽体離脱させていました。

他にも化物の姿をしたヌルヌル君や「フランシス・ベーコン」の絵に書かれた男など、人間ではない幽体にも出会います。彼らは、現代社会の闇が幽体離脱者を生み出している、と言います。そして、幽体になることなく地上で生活するべきだ、という意味のことを柾彦に話します。

ところ変わってアメリカでは、幽体離脱を諜報活動の手段として活用するための軍事プロジェクトである「Astral Project」が進められていました。そこでは研究としてヤンキーの女性エミリーに麻美を憑依させて、生前関わりのあった志賀と話をさせる、という試みが行われていました。さらに、日本のラジオFM曲に圧力をかけて、アルバート・アイラーのCDを再生させます。これにより一晩で大量の幽体離脱者が生まれました。

ヌルヌル君と「フランシス・ベーコン」の絵の男は、体外離脱減少について考察します。20世紀に入りコンピュータが生まれ、ネットと現実の世界の区別がなくなったことが原因ではないかと。

柾彦はレベルアップして、影がなくなりさらに幽体である「非物質」の状態に近づきます。そして、姉の幽体は弟に会うことを決断します。姉が幽体になったのは、やはり志賀のせいでした。カルト宗教の布教を目的に、自殺志願者に近づきさらに幽体離脱の素質がある者を実験に使っていました。姉からのメッセージは、幽体離脱のことを忘れ、CDを粉砕して欲しい、というものでした。アメリカのAstral Projectは失敗に終わるだろうとヌルヌルくんも言います。

最後は、高級娼婦を送迎バイトから足を洗い、ザンバノと美佐と3人でアパートで共同生活を始めて終わりです。

結局、幽体離脱やAstral Projectって何だったんだ、という終わりですね。スモーキングガンはどうなんでしょう。