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天地明察、江戸時代に改暦事業に従事した渋川春海の生涯を描きます

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天地明察

冲方丁先生の長編小説。知らない人はほとんどいないでしょう。天地明察は、江戸時代に改暦事業に従事した渋川春海の生涯を描きます。2012年には、岡田准一主演で映画化もされました。

以前、冲方先生の作品として短篇集「OUT OF CONTROL」を紹介しました。

OUT OF CONTROL - PHMPK.LOGOUT OF CONTROL - PHMPK.LOG

冲方丁先生の短篇集。まとまった時間が取れない人の味方、短篇集。冲方丁先生については、もはや説明はいらないでしょう。あらゆるジャンルで活躍する大作家です。知名度を...

この中の「日本改暦事情」が、天地明察のダイジェスト版とも言える作品でした。大体のあらすじはわかっていましたが、実際に天地明察を読むと、改暦に至るまでに春海に助力した人物についてより詳しい描写があります。有り体に言うと、キャラクターがみんな活き活きしてます。

今年読んだ小説の中では、今のところ一番面白い。そんなにたくさん読んでるわけじゃありませんけどね。

あらすじ

安井算哲は幕府と京に支える碁方であり、算術や天文学にも造詣が深い人物です。ただし、ひたすら定石を繰り返す碁方という仕事を楽しいと思っていません。渋川春海という名は算哲が自分で付けたもうひとつの名であり、自分だけの春の海を望む気持ちを表しています。

趣味の算術を通じて、関孝和という算術の天才を知り、強く心惹かれます。このあたりは「日本改暦事情」と同じです。違うのは、未来の妻となるえんの存在が出てきたことです。えんは春海と関の算術勝負の証人となります。

北極出地という天体観測の仕事を老中酒井から命じられて、その仕事を通じて建部や伊藤と交流を深めます。このあたりは春海の成長譚でもありますね。宣明歴のズレを知り、授時歴の良さを示そうと月食・日食の予報対決に持ち込みますが、これは授時歴にもズレがあったことにより、改暦ならず、となります。

失敗だらけに見えるんですが、碁や神道を通じて様々な人とつながっていくこと、春海自身が成長していくことで、より良い新暦の作成につながります。最後の京での大統暦採用から、周到な根回しによる大和暦の採用まではちょっと駆け足だったような気もします。

余談ですけど、春海が関に出した問題の円周を求めるものが、わかりませんでした。円周の合計からいくつか方程式が立てられること、円周の大小関係が定められていることはわかるんですけど、問題の条件少なくないですか。なにか見落としてるのかな。

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

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