巻末の著者近影の朝井リョウ先生写真は間違いなくイケメンですね。この「桐島、部活やめるってよ」は早稲田大学在学時に書かれた作品です。イケメンな上に高学歴ですね。更に言うと、この作品は朝井先生の処女作にして、すばる新人文学賞を受賞しています。さらにさらに、映画化もしました。「リア充爆発しろ」とか言われそうですね。
高校というコミュニティの中で、17歳の少年少女たちが些細なきっかけから心を動かす様子を描きます。高校生小説ということで、やはり若い作家にしか書けない作品ではないでしょうか。多くの高校生たちの心を動かしたのかな。ただ、賞をとってますけど、審査したのは間違いなくギットギトのおっさんたちですよね。おっさんたちがこの小説を読んで、「素晴らしい、高校生の心情がよく書けている」とか思ってたと考えると胸が熱くなります。本当にそうなのかな。本の帯に「あの痛み、あの寂しさ。確かな描写力で17歳を追体験させてくれる、愛おしすぎる青春連作集」なんて書いてあるんですけど、売るためとはいえ痛々しい。
ちょっとディスりましたけど、自分の高校時代を思い出しても感覚的に理解できる部分もあり、心理描写のうまさも含めて、とても面白い小説でした。チャットモンチー、RADWIMPSの曲、豊島ミホの本、岩井監督映画、何かに共感して深く感動するのはやはり中高生のときですよね。私は上記を全然知りませんけど、同じようにELLEGARDENなんかにハマりましたからね。今だと高校生は、サカナクションとか好きなのかな。
あらすじ(ネタバレ注意)
一人ひとりの登場人物にフォーカスして、桐島が部活をやめることから起こる心の変化を描きます。桐島は最後まで出て来ません。そして、桐島と親密な関係だった人物もそんなに出て来ません。間接的に影響を受けるだけです。
菊池宏樹
練習は不まじめながら、運動神経がよく、部員の中でも上位のうまさです。映画部の真剣な眼差しを見て、部活に行こうとします。もともと、野球部用のかばんをずっと持っていたところがかわいいですね。映画部が次回作を真剣に取ろうとする部分が前田涼也の章で書かれます。
小泉風助
一番桐島に近い人物。同じバレー部で、桐島が部活をやめることで、レギュラーになれます。やめたことを喜んでいる自分に気づいて葛藤します。
沢島亜矢
チャットモンチーが好きなブラバンの女の子。宏樹とバスケをしている竜汰が好きでしたが、彼女が居ると聞いて自分で自分を励まします。いつもバスケを見ながら、窓の外に向かって演奏しているんですけど、それが他の人にも影響を与えていました。桐島が部活をやめたことで、竜汰たちが桐島を待つためにバスケをしなくなったことを寂しく感じます。
前田涼也
映画では主人公のようです。バドミントン部のかすみとは、高校に入ってからは距離ができています。高校生のヒエラルキーが最も強調される章です。さわやかで運動部が上位、文化系・オタクが下位という階層社会にあって、映画部は全校生徒の前で表彰されることになります。嘲笑する女子もおり、気にした様子を見せますが、最後は次回作のために体育館で部活風景を撮影に入ります。体育館はバレー部が使っていたんですが、桐島がやめたことでバドミントン部が外部に行くことなく高校の体育館を使うようになりました。
宮部実果
交通事故で父と姉をなくしています。母と二人暮らし。両親は再婚で、実果は母と姉とは血がつながっていません。母は事故で心を病んでしまい、実果のことを姉である「カオリ」と呼びます。桐島の彼女である梨紗と中がいいんですが、関わりはそれくらいですね。いろいろな悩みを吹っ切り、母の誕生日に花を送り、カオリが好きだったカレーを食べます。
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