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光待つ場所へ / 辻村深月、気分を新たにする3編の短篇集

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光待つ場所へ (講談社文庫)

辻村深月先生の「光待つ場所へ」は短篇集、3つの異なる話からなります。暗い話ではなく、読んで気分を新たにする、といった感じでした。

最後の樹氷の街だけは、私はうまく読むことができませんでした。良い話でしたけど。加藤はいねさんの罪は重いです。

あらすじと感想

しあわせのこみち

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絵に感心を持ちながらも、美大に行くことは決断出来なかった清水あやめ。同名のキャラクターが「冷たい校舎の時は止まる」に出てたような。

あやめが気になってしょうがないのは、田辺颯也。恋愛的な意味ではなく、同じ芸術を志すものとして。大学の美術系の講義で最初に紹介された田辺の映像に引きこまれたあやめ。田辺もまたあやめの絵が印象に残っていました。そんな2人が互いに影響し合い、美術展に向けて作品作りをしていきます。最後はあやめから田辺に告白。

チハラトーコの物語

チハラトーコは売れないモデル。母は冬子を子役にさせようと、毎週のようにオーディションを受けさせていました。しかし、両親の離婚後、冬子のオーディション生活は終わります。それからも自分を偽り芸能界との関わりを学校でアピールする日々。そして全く関係ない所で、オタクの先生から影響を受けてアニメにも目覚めます。それらがミックスして現在の秋葉原に拠点のあるモデル事務所での今日の生活につながっています。

何やら過去を回想し、「私は病気ではない、嘘つきだ」という思いを確かめます。そして、一皮むけるために今までの自分なら受けなかった役のオーディションに挑戦します。

樹氷の街

文化祭の合唱コンクールの話。課題曲の「大地讃頌」と自由曲の「樹氷の街」があるのですが、伴奏者の倉田さんはどちらもうまく弾くことができません。そのために、クラスからの風当たりも強くなっています。

この話は、紆余曲折を経て文化祭をうまくやり遂げるところまで行くんですが、私は課題曲の「大地讃頌」が出てきた時点でダメでした。倉田さんが加藤はいねさんで再現されちゃいました。

もしもピアノが弾けたなら思いの全てを歌にして君に伝えることだろう。だけど僕にはピアノが無い、君に聴かせる腕も無い。心はいつも空まわり、伝える言葉が残される。嗚呼。嗚呼。嗚呼。嗚呼。 - 私の時代は終わった。

いやー、いい話なんですけどね。まさか辻村先生も、この話をなぜか笑いながら読む人は想像出来なかったことでしょう。

光待つ場所へ (講談社文庫)

光待つ場所へ (講談社文庫)

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