月夜田定の世界の救い方 / 志賀伯x雨水龍(1)(2)、月夜田君はまごうことなき変態ですわ

月刊ガンガンJOKERで連載していた「月夜田定の世界の救い方」。読切りから昇格し、2巻で完結。

主人公の月夜田定(つきよださだめ)が、救世主(メシヤ)となり世界を救います。メシヤのもとに降りてくる啓示をクリアできなければ世界が滅んでしまいます。1巻の表紙を見ると、おかしな部分が一つあることに気づくと思います。この啓示というのが曲者で、世間体や羞恥心、プライドを捨て去らなければクリアできないものばかりなのです。

このバカバカしい啓示に悶える様が面白い。続きも読みたかったところでしたが、2巻までで終了してしまったんですよね。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

オンラインゲームで培った人心掌握力で持って、学校でも支配者として君臨しようとしている月夜田定。「偽善」と称して善行を繰り返してますが、本当いいことばっかりしてます。そんな月夜田定の日常が終わりを告げるのが、あやしいジジイにカンチョウされたとき。

ジジイは「世界を救う」と称して街中で男にカンチョウして回ってます。ジジイを捕まえると、上空に巨大な隕石が。とっさにジジイのスマホの残り一人という表示を見てジジイにカンチョウする月夜田定。すると隕石は姿を消します。以降、ジジイに降りていた啓示という名の指令が月夜田定に降りてくることに。

啓示と共に巨大な隕石が地球に降りてくるため、時間内に啓示をクリアしなければなりません。最初の啓示は「赤圍心のパンツをとれ」。赤圍心はクラスのアイドル的美少女。啓示をクリアするために月夜田定は変態と化します。ただの変態ではなく、知略と人心掌握力に長けた変態。

次々に月夜田定に襲いかかる怪しい啓示「青山ハルコと接吻せよ」「ドぎついエロ本を買え」。さらに他の救世主と出会うと流星群が襲いかかってきます。山のような変態啓示「異性の胸をさわれ」「エロ本を3冊買え」「スカートを2回めくれ」「ブラジャーのホックをはずせ」。これらの啓示を犯罪者になることなくスマートにクリアする月夜田定の知能が素晴らしい。

次なる啓示は「相手にすべてをさらけだせ」。期限は最長の1週間。ほのかな恋心とライバル心を抱いていた赤圍心に全裸で演説します。感動の必見シーンですね。伏線回収も何もなくここで終わってしまいましたが、読後感はさわやかです。志賀伯先生と雨水龍先生の次回作を楽しみにしています。