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北天の馬たち / 貫井徳郎、あらすじと感想

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北天の馬たち (単行本)

貫井徳郎先生の長編小説。ミステリーというよりは人情系のお話です。

登場人物紹介

毅志(たけし)

主人公。母と喫茶店を経営している。他に喫茶店の入っているビルのオーナー業をしている。柔道経験があり、一目見て覚えられるほど良いガタイ。皆藤と山南の探偵業を手伝うことに。

皆藤晋(かいどうしん)

山南とともに、毅志の喫茶店の2階に「S&R探偵事務所」を構える。

南涼平(やまなみりょうへい)

皆藤とともに、「S&R探偵事務所」を構える。若くてモデルのようなイケメンで、女性の扱いに慣れている。

鳴宮淑子(なるみやとしこ)

日本有数の自動車メーカーであるナルミヤ自動車社長の次男の妻。長男夫妻が亡くなった後、娘の芽衣香を引き取るも夫も病気で亡くし、一人で芽衣香を育てている。

鳴宮芽衣香

ナルミヤ自動車社長の長男の娘。父の聡一は、皆藤・山南と親友だった。両親と叔父を亡くしてから、義理の叔母である淑子に引き取られる。

角倉

親からの遺産を食いつぶした後、競馬で日銭を稼いでいる男。女を暴行した復讐を依頼された皆藤と山南によって刑務所に送られることになる。

橘依子(たちばなよりこ)

一般職として働いているが、給料には不相応なブランド品で身を包んだ美しい女性。似合いの相手とくっつけて欲しいという叔母からの依頼を受ける。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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毅志の働く喫茶店はビルの1階であり、2階のフロアと鍵なしで直結していました。もともと毅志の父が公認会計士事務所として使っていたためです。父が亡くなった後、2階を貸す相手は信頼できる相手出会って欲しい、というのが毅志の願いでした。そんな毅志と母のもとに新入居者としてやってきたのが、皆藤と山南。2人の人柄にすぐに惚れ込み、2階を貸すことに。また、2人の探偵業を手伝うことになります。

2人の事務所に足繁く通うのが未亡人の淑子。娘の芽衣香は血はつながっていませんが、大切に育てられています。喫茶店の面々ともすぐに仲良くなります。

探偵事務所に最初に舞い込んだ大きな依頼は、娘を暴行された復讐をして欲しいというもの。暴行したとされる男は、角倉というそんなことはできなさそうなひ弱な男でした。しかし、人は見た目ではわからないということで、毅志は皆藤と山南の手はず通り、故買屋の情報をあえて角倉にリークして、金に困った角倉に盗みを働かせます。その一部始終を記録して警察に持込、盗品の故買屋と角倉双方を刑務所に送り込みます。

次なる依頼は、姪に良い結婚相手をあてがって欲しい、というもの。その姪である橘依子は派遣の事務職ですが、仕事の割に高級なマンションに居を構え、身の回りをブランド品で包んでいました。共通の趣味の美術鑑賞を使って狙った男と引き合わせることに成功します。そして、無事交際が始まることに。しかし、その交際が始まってしばらくしてから、すぐに橘依子からのお金の無心が始まります。アルツハイマーで介護が必要な親のためにお金を貸して欲しいというネタでお金を引っ張っていきます。怪しいと感じた所で相手の男にそれを伝えると、これまでのやり取りをすべて録音しており、橘依子を結婚詐欺で訴えることになりました。証拠が十分であるという事で、橘依子は刑務所に入ることに。

2つの事件の後、毅志は夜道で大柄な男にバットで襲われます。襲われたことを皆藤と山南に伝えると、2人は忽然と探偵事務所から姿を消しました。さらに淑子と芽衣香も突如として長期海外旅行に。

ここから、すべての点をつなげる毅志の調査が開始されます。地道な調査で、真相に至ります。すべての始まりはナルミヤ自動車の遺産相続にまつわるものでした。社長が死亡して子供たちに遺産が相続された後、長男夫婦、次男がたてつづけに亡くなったことでほとんどの遺産を相続したのが芽衣香。すべては芽衣香の身を守るために行われたことでした。角倉と橘依子は父親違いの兄妹であり、母親はかつてナルミヤ自動車社長の愛人でした。つまり角倉は芽衣香の叔父。角倉と橘依子には暴走族「恐乱同盟」のヘッドで刑務所に服役している兄が居ました。この兄の出所がせまってきていたのです。3人の兄弟は遺産を手にするために、長男夫妻を手にかけていました。

皆藤と山南の本当の目的は3人の兄弟を全員刑務所に送り込み、芽衣香の安全を確保すること。自分たちの所業で回りに迷惑が及ぶことを避けるために、毅志には偽の情報で仕事を手伝ってもらっていました。角倉と橘依子を刑務所に送り込むことは出来ましたが、出所してきた角倉の兄は2人が刑務所に居ると知るやすぐさま毅志に襲いかかってきた、ということもわかります。

皆藤と山南は角倉の兄とともに完全に姿を消します。電話で、毅志にメッセージを託す2人。最後は、見の安全が確保されたという事で日本に淑子と芽衣香が戻ってきた所で終わります。

推理できそうな部分が殆どありません。どちらかというと皆藤と山南の男らしさを堪能する人情ものでしょうか。終盤の展開は息切れ感がありました。

北天の馬たち (単行本)

北天の馬たち (単行本)

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