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AnotherエピソードS / 綾辻行人、見崎鳴が「もう一人のサカキ」の幽霊に出会う話、新章『Another 2001』と関係も

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Another エピソード S (単行本)

2013年になって発売された綾辻行人先生のAnother続編のエピソードS。夜見山北中学校で春から夏にかけて起こった凄惨な事件の数々が終わった後、渦中の人物であった見崎鳴(みさきめい)が、主人公の榊原恒一(さかきばらこういち)に「もう一人のサカキ」について話す、という形式で展開されます。

ざっくり言うとAnotherは、夜見山北中学校の3年3組にだけ訪れる災厄を乗り越える話。災厄に見舞われると3年3組に在籍する生徒と教師、その親族が次々に亡くなっていきます。

この災厄を回避する方法を求めて、鳴が11年前3年3組で災厄で生き残った賢木を訪ねたときに幽霊と出会ったというわけ。賢木は鳴の助言を得ながら自分の死体を探します。幽霊として現れることができるのが、この屋敷だけでなく姉家族の家にも広がっていきます。

姉家族の会話からわかることは、やはり自分の死が隠蔽されていたこと。徐々に自分が死んだ時の状況を思い出していく賢木。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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鳴の父親と賢木晃也の姉の夫が親しかった関係で、鳴と賢木は面識がありました。鳴が榊原に語るという切り口で始まりましたが、物語は賢木晃也の幽霊の視点で進みます。

気がつくと幽霊となっていた賢木。自分が死んだ後の存在であることを認識し、自らの記憶をたどると死の前後の重要な部分だけが抜け落ちていました。何故自分がこのような状態になったのかわかりませんが、理由を正しく弔われていないからではないか、と推測します。事実、彼は死んでいましたが世間的には長期の旅行に行ったことになっていました。

災厄から逃れるために引っ越してきた湖畔の屋敷で、失われた記憶と自分の死体を求めてさまよう賢木。そこにやってきたのが災厄から逃れる方法を探していた鳴です。鳴と話しながら自分が死ぬときの状況を思い出していきます。屋敷で天井の梁にロープを吊るして自殺しようとするときに来てしまった姉の比良塚月穂(ひらつかつきほ)と想(そう)。賢木の自殺を止めさせようとして説得していましたが、階段近くで月穂を振り払った時に勢い余って手すりを超えて転落してしまったことを思い出します。その死の瞬間を甥の想も見ていました。

鳴がかつて屋敷を訪れた時に書いていたスケッチから、屋敷の明かりの数が少なくなっていることに気付いた賢木。屋敷の地下に封印された部屋があることを見つけます。その部屋で自分の死体と対面、おぞましい姿と腐臭で逃げ出せなくなったところに鳴が助けに来ます。ツルハシで壁をぶち抜いてくるという荒業です。「助けて」という声が聞こえてきていました。

助けに来た鳴が、賢木に対して「あなたは生きてる。幽霊じゃない」と言います。ここで明かされるのが、賢木本人であると自称していた幽霊が比良塚想であるということ。死の瞬間を目撃したショック、継父と新しい妹の居る環境から逃げ出したいという感情などによるものか、自分を幽霊だと思い込んでいたんですね。屋敷を訪れた鳴に「自分は幽霊だ」と語りかけたことから、鳴は何かを感じ取って話を合わせていました。賢木の死を忘れるように母から言われ、死体が隠蔽されていたのは継父の選挙が近づいていたから。

エピローグでこの幽霊事件の後に、想からの手紙が届き、そこに書かれた住所氏名には苗字がなく夜見山にある赤沢という家に引き取られたことがわかります。この時点で12歳の想が夜見山に引っ越す、ということは・・・。

2014年11月号の野生時代から連載開始した新章『Another 2001』で想が3年3組に所属していることがわかっています。賢木から災厄についての知識を得ていることもあり、どのように物語が展開されるのか今から楽しみです。

Another エピソード S (単行本)

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Another

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Another(1) (角川コミックス・エース)

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