俺が童貞を捨てたら死ぬ件について / もりた毬太 / 若林裕介(1)-(4)、主人公がハーレムを作るっぽいラノベ風タイトルで粉飾したガチのSFサスペンス

原作のもりた毬太先生はサンデーで連載していた「正しいコドモの作り方！」の原作も担当されていました。「俺が童貞を捨てたら死ぬ件について」は、もう見た瞬間にラノベっぽいと感じるタイトルなんですが、中身はガチのSFサスペンスでした。

主人公の和也が殺されるシーンから始まり、過去をやり直すのが基本ストーリー。15年後から記憶だけを持った状態で、高校時代にタイムスリップしてきたんですね。未来の記憶は、完全に残っているわけではありませんが、とにかく自分が殺される未来を回避するために行動することに。

タイトルは、自分が親友に殺された理由を、先に童貞を捨てたからと推測したところから来ています。「それがオレの殺された理由なのか？オレがお前より先に童貞を捨てたから？」というセリフから。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

主人公の和也が、首を締められて殺されたかと思ったら、高校時代にタイムスリップしていました。過去の自分が未来の記憶だけを持っているという状態で。

高校生活を再度エンジョイしながらも、自分が殺された理由を推理します。徐々に戻ってくる？未来の記憶。自分を殺したのは高校時代の親友である正己。殺された理由は、先に童貞を捨てたからという結論に。どうしてそうなった。ここから、童貞を捨てないための和也の戦いが始まります。戦いと言っていいのかな。女性フラグをへし折っていくわけですね。

先輩の彼女に迫られて童貞を喪失する。さらに、先輩からはボコボコに殴られるというおまけ付き。このフラグは回避するも、先輩からは殴られることに。
メガネ読書好き少女の五月女(そうとめ)さんと、好きでもないのに付きあって肉体関係になる。そもそも五月女さんが、高校時代ずっと和也のことを好きだったんですが、うまく傷つけないように振るという大人なフラグ折りを見せます。
高校時代に彼女が居なかった正己に彼女を作る。これはフラグ回避と言うよりも、新たな生存フラグづくりですね。しかし、この試みはうまく行きません。正己が好きな吉野梨香には大学生の彼氏が。

記憶を遡りながら、周囲の人たちが不幸にならないよう立ちまわる和也。少しずつ明らかになってくるのは、梨香が高校から大学にかけて不遇の人生を歩んでいたということ。高校時代の中絶経験で妊娠ができない体になり、大学時代には誰とでも寝る女という噂が駆け巡り、社会人になってからストーカーに殺されるというもの。これらのフラグもバッキバキに折っていく和也。

和也を殺したのは正己でしたが、その殺害の直接的な理由になるのが「梨香が幸せでなかったこと」にあることがわかってきます。最後は、ストーカーに命を狙われ危機一髪となりましたが、2人が結ばれてハッピーエンドに。

タイトルで内容を誤解すると損しますね。それも狙って付けたんだろうと思いますけど、読むと騙された！、シリアスな展開が面白い！ってなっちゃいました。