「野ばら」の高田築先生が送る悲哀のサラリーマンマンガ。といっても働くほうじゃなくて、普通にサラリーマンしてただけなのに社会を脅かす敵と戦う大きな力を授かってしまったがために強制的に戦いの中に見を投じる、というもの。
敵は「倫虫」という人間に寄生して増える化物達。現代日本を舞台にしているんですが、次々に起こる倫虫による事件で社会が脅かされています。タイトルにある補助隊モズクスというのは、主人公がひょんなことから契約してしまった3体の式神。もずく酢が好きなので、そのまんまネーミング。
倫虫と補助隊が何なのかについては、まったく説明されないので、見たまま解釈するしかないですね。倫虫は、どこか他の世界から来て人間の脳を侵食して、得体の知れない化物に変貌するという生態を持ちます。増殖能力を持つものも。
補助隊は、JOJOのスタンドのように射程距離内に具現化する3体の式神。訓練することで、精密な動作が可能になっていきます。補助隊持ちだけが、倫虫に対抗する有効な手段とされています。契約することで使役できるようになり、1体やられると二度と復活できず寿命の三分の一が消滅するという一面も。つまり3体ともやられると死亡。任意の場所に現れて敵を攻撃したり、透明化したりと縦横無尽に動き回れますが、不死身ではありません。
あらすじと感想(ネタバレ注意)
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主人公の東海林俊平がビジネスホテルに泊まっていると、壁をすり抜けて現れたのが補助隊モズクスの3体。指切りを迫ってきます。軽い気持ちで指切りして部屋を出ると、前契約者のホテル支配人が倫虫によって脳を食われて殺され、ホテル内には増殖した倫虫が溢れ出していました。思い通りに動かない補助隊に、なんとか命令を出して倫虫を全滅させます。
東海林が契約した補助隊は、3人とも人格がある上に東海林の頭の中で考えていることを大声でわめきちらすという厄介な存在。自分以外の補助隊持ちである若木と出会い、自分の補助隊が他とまったく違う力を持つことに気付きます。
高度な精神の鍛錬なしには操作できないはずの補助隊が、東海林の強い殺意だけに反応して倫虫を殺したり、においだけで倫虫の存在を感じ取ったり、本体への銃撃を防膜と呼ばれる形態変化で防いだり。圧倒的なパワーだけでも、他の補助隊とは比べ物になりません。一介のサラリーマンが何の覚悟もなく、大きな力を背負ってしまう理不尽。
いくつもの戦いを経て、大きな力を持つ東海林は、組織的に兵器を強奪して温泉町を占拠した倫虫人達を襲撃する部隊のリーダーに。巨大な肉体を使役する大群の倫虫や、現代兵器による砲撃で困難を極める戦いに、補助隊持ちの式神使いが挑みます。目的は、生存者の救出。人質さえいなくなれば、町ごと空爆できますからね。生存範囲の拡大でも、繁殖でもなく、ただただ自分たちの好奇心と快楽を満たすためだけに人々を苦しめる倫虫に憤る東海林。戦いと共に成長していきます。しかし、結末は悲しい物。仲間や人質を救うためには3体の補助隊を防膜に使わなければなりませんが、それでは自分を守れないという状況に。自分の命と引き換えに少女の命を救う東海林。
エピローグは、その時命を救われた少女が、モズクスを引き連れて倫虫に挑んでいくシーンで終わります。勇気を持って契約する人が居る限り、希望は潰えない、そんな終わり方でしょうか。
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