あのドラマ「半沢直樹」の原作になった池井戸潤先生の、銀行を舞台にした小説。
あらすじや感想を書くのは本当に今更感がありますが、つい最近読みましたので。ドラマは、小説2作目の「オレたち花のバブル組」とで前後編で構成されていました。
「オレたちバブル入行組」は大阪を舞台にしています。大阪という事で、中小企業向けの融資に関連した話ですね。バブルに入行ってのは、本当に典型的なまでに銀行が日本の産業界を牛耳ってた時。
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あくまで時価総額のランキングですが、バブルから20年は銀行の破綻と再編の歴史だったと言えます。半沢直樹とすれば、所属した業界が落ちる一方。高待遇な職種ではありますが、一度でも失点を出して出向になってしまえば、一巻の終わりなんですね。この世代に対しては、「転職すれば?」なんていうツッコミは無しです。
あらすじと感想(ネタバレ注意)
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東京中央銀行大阪西支店の融資課長を務める半沢直樹は、支店長浅野匡の猛プッシュを受けてきちんと精査する時間も与えられないままに西大阪スチールなる会社に5億円の融資をすることに。この会社を一度半沢が訪れた時には、どうにも仕事のできない胡散臭いムードが漂っていました。
案の定、西大阪スチールは融資後すぐに倒産。さらに粉飾決算まであり、それを見抜けなかった半沢の責任は免れません。西大阪スチールの社長である東田は開き直って雲隠れ。支店長の浅野は、自分が不自然なまでに強引に進めたことを忘れたかのようにすべての責任を半沢に押し付けようとします。
西大阪スチールの計画倒産と返済踏み倒しは、東田と浅野の結託によるものでした。半沢は、売掛を踏み倒された竹下金属社長の竹下とともに東田の行方を追っている中でこの事実に気付きます。浅野に対して5億円の融資から5千万円のキックバックがあった証拠の通帳も掴みます。
ここから、正体不明の差出人によるメールを用いた浅野への精神攻撃、東田の愛人の本当の彼氏である板橋への脅迫などで隠し口座の情報を得て、焦げ付いた5億円を取り返した上に、浅野をやりこめて自分の望む部署への異動を手引きさせる、といった大車輪の活躍を見せます。わかりやすい勧善懲悪ストーリーに、やや強引な大人の駆け引きが加わった感じ。
読み物として面白く、ドラマ化も頷けます。しかし、おっさんしか出てこないこの小説をドラマ化しようとしたのは凄いな。悪役の人たちが全員スネに傷持ってる部分がなんとも。株取引で5千万円の借金背負ってたり、ボスの愛人と付き合っちゃってたり。
- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/12/06
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