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一匹と九十九匹と / うめざわしゅん(1)(2)、絶望、閉塞感、生きづらさの詰め合わせ

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一匹と九十九匹と 2 (ビッグコミックス)

うめざわしゅん先生の読み切り連作集。絶望、閉塞感、生きづらさのようなものを詰め込まれていてその密度に圧倒されます。見せ方として、黒いものを大量に見せられて、その中に希望を見出すんでしょうか。私は読後感最悪でしたが。

1話完結の読み切りで構成されているのであらすじを書くのは難しいんですが、2巻は1冊で5話完結の一つの話になっています。この話のあらすじだけ残しておきます。

あらすじと感想(ネタバレ注意、ややグロ描写あり)

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タイトルは「機械に対する憤怒」、サブタイトルに「楽園」「無垢」「誘惑」といったキリスト教を連想させるワードが続きます。

主人公ないし狂言回しは工場で働く浜名陽太という男。いきなり母が危篤となっているシーンから。死にかけの母から銀行の印鑑の場所を聞き出し、苦しむ母に対して薄ら笑いで人間らしい感情をまったく見せません。そんな浜名の働く職場にやってきた一人の女性、栗本。敬虔なクリスチャンの栗本は、浜名の母が無くなったばかりと聞くと「すべての罪を許し終わりなき命の港に至らしめ給え、アーメン」と祈りを捧げます。「母にどんな罪があるのか?」と問う浜名に対して「原罪と自罪」と答える栗本。原罪はアダムとイブが知恵のみを食べたこと、自罪は神に逆らう人間の自由な意思のこと。

浜名は知人の海田という男を呼び出し、栗本をレイプするよう依頼。目先の金につられて依頼を受ける海田。無残に暴行される栗本とそれを離れた場所でビデオに撮りながら、「罪も罰もない」「あるのは強弱だけ」と唱える浜名。しかし、翌日栗本はショックを受けた様子を観人も見せず、職場に現れます。

浜名はさらにエスカレートし、海田に栗本だけでなく妹も襲うように依頼。報酬が前回の30万円から50万円に釣り上がり、海田の目がギラツキます。障碍者のふりをして妹を車近くに誘導して押し込み暴行。そして勢い余って殺してしまいます。

浜名は栗本に、自分が男に襲わせようとしていたことを告白。毅然とした強さを持つ栗本を、自分のいる場所まで引きずり下ろしたかったと話します。栗本は浜名を責めず「人は善をなさなければならない」と言い、海田の居場所を聞き出します。

ここから場面が替わって海田を主軸に。付き合っていた彼女を妊娠させてしまい、小説家の卵もどきでふらふらしていたのから一転、バイト先で正社員になり髪もバッサリと切り落とします。生まれ変わったかのようにしっかりとしたのは、「堕ろす」という彼女を止めるため。2人で共に歩んでいくことを誓います。

しかし、そんな海田には栗本の復讐の手が忍び寄っています。栗本と浜名の2人に拉致され、人気のない山奥へ。そこで車椅子に乗せられ拘束されて、栗本に痛めつけられます。アイスピックを何箇所も突き刺された上に、両手の指を全部先の関節から切り落とされていきます。極めつけは局部を切り取った後、ガスバーナーでの焼きながらの止血。浜名には、全ての歯をペンチで抜くことを命じます。さらに海田の彼女を呼び出し殺そうとする栗本。海田に電話をさせて呼び出させようとしますが、「来るな、明日には戻る、体を大事に」と叫びます。それを聞いて海田はトドメを刺されます。

栗本と浜名の2人は今後どうするのかと思いきや、結婚なんて話が。「君を愛している、憎まれて当然だろうけど一緒に生きていきたい」という浜名に対して、栗本は「あなたと私は関係ない」「あなたは罪人ですらない、ただの機械」。それを聞いて激昂した浜名は栗本の首を絞めて殺します。

結末と共に、最後の浜名の表情、体の状態がやるせない感たっぷり。このマンガは万人におすすめできませんね。あらすじを読んで興味が湧いた人は是非。

一匹と九十九匹と 1 (ビッグコミックス)

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一匹と九十九匹と 2 (ビッグコミックス)

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