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盲目的な恋と友情 / 辻村深月、あらすじと感想

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盲目的な恋と友情

「盲目的な恋と友情」は辻村深月。ドロドロとした黒い方の辻村作品です。タイトルにあるように書かれるのは「盲目的な恋」と「盲目的な友情」の2つ。恋と友情の2章からなり、それぞれ一瀬蘭花(いちのせらんか)、傘沼留利絵(かさぬまるりえ)という2人の女性視点で物語が進みます。

盲目的に恋をする一瀬蘭花に対し、一途に友情を抱く傘沼留利絵の章がなかなか怖くていい味出しています。まったく同じ物語が、留利絵視点だと全然違って見えます。もちろんネタバレになっちゃうのは留利絵の方の「友情」の章ですね。

一瀬蘭花の結婚式のシーンから物語は始まります。同じ大学だった列席者が噂しているのは「相手が茂美じゃなくて、本当によかった」という内容。

蘭花は進学した東京のはずれにある私立大学で、大学の管弦楽団に所属していました。音大ではないので、楽団といっても部活。大学に入ってから初めて学期に触る人が大半です。とはいえ、年に2回の定期演奏会はそれなりに力を入れており、練習熱心でプロの指揮者を招いて指導を受けて演奏に臨みます。

蘭花のいる大学に現在指揮者としてきているのが茂美星近(しげみほしちか)。その道のプロを招くということもあり若手がほとんどで、名前が売れてくると忙しくなって交代するというのが常。そして、大学の管弦楽団にあっては、プロの持つ技量は圧倒的で毎回楽団の一番可愛い子と付き合うようになってしまうのが定番。茂美にも、他を寄せ付けない清楚なルックスのフルートの稲葉先輩と付き合っているという噂がありました。その後、稲葉先輩が卒業すると仕事の都合ですれ違いが多くなって別れてしまったとも。

次に茂美が見初めたのが蘭花。周りからも二人はお似合い、と言われたことで意識はしていましたが、音楽のプロというだけでなく優れたルックスも持つ茂美のアプローチで交際を始めます。茂美のツテでいろいろな場所に顔を出す蘭花、これまでしらなかった音楽会の上流の人たちと交流を持ちます。茂美の恩師である室井もその一人。かつてピアノだった茂美は室井に才能を見出されて指揮者の道を歩み始めました。

OGの稲葉先輩が楽団を訪れる機会があり、そのときに蘭花が茂美と交際していることを話すと「ナナコさんにはもう会った?あなたも大変ね」という意味神なセリフ。このとき話したナナコさんが、室井の妻の菜々子であったことはすぐにわかります。といっても菜々子は茂美よりも20歳ほど年上、恋愛的にどうこうということはないと特に気にも留めませんでした。

しかし、茂美と菜々子にガッツリ不倫関係がありました。珍しく悪酔いした茂美をマンションの部屋に送った時に、部屋に菜々子が来ていたことでそれに気づきます。というか菜々子は、確信を持って蘭花を傷つけるために、茂美と関係がある痕跡をそこかしこに。蘭花が茂美に連れて行ってもらったレストランなどのスポットはすべて、菜々子が茂美を連れていった場所。2人を理想的なカップルともてはやす周囲にこのことは相談できませんでした。唯一慰めてもらえたのが、恋愛ごとから完全に距離をおいた留利絵。

蘭花がそれでも盲目的に茂美に惚れ込んでいたこともあり交際は続きますが、結局茂美と菜々子の不倫関係は室井の知るところとなり、恩師を裏切っていた茂美は完全に業界から干されます。そのときすでに社会人になっていた蘭花のヒモ状態に。ここに至って周囲から「別れろ」と言われるようになりますが、だらだらと関係は続きます。そのうち壊れ始めた茂美は蘭花を脅迫するように。茂美と蘭花の行為の録画を盾に、分かれるならこの動画を公開すると脅す茂美。その動画が録られたのはどう考えても交際初期。「菜々子さんに、そうするようにアドバイスされた」などという発言が茂美から飛び出すに至って蘭花は絶望。菜々子恐ろしすぎる、多分自分よりも若い女すべてを傷つけたくてしょうがないんでしょうね。

社会人となった蘭花は、母のススメもあって留利絵とルームシェアして暮らしていました。恋愛について明らかに疎い発言をする留利絵からも別れたほうがいい、恋という欲に支配されていると言われる蘭花。絶望感漂う中、ある日2人の部屋に警察がやってきます。茂美が酔って橋の柵の弱くなった部分から転落して死亡したという連絡。現在は自殺とも他殺とも判断が付かないとのこと。死亡時刻の午後9時頃に橋で言い争う男女が目撃されていました。アリバイを聞かれた時に、留利絵から「その時間、蘭花ちゃんは私と一緒にいた」という証言。自分をかばうためか、一緒に居なかったのにそんな証言をした留利絵に驚きます。

その後、蘭花は同じ会社で働く乙田と交際し結婚することに。冒頭の幸せな結婚シーンに繋がります。茂美のような情熱的な恋ではないものの温かく誠実なパートナーとの幸せを噛み締めます。まあ、これだけ読めばめでたしめでたしなんですが。

友情(ネタバレ注意)

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画家の娘に生まれ、裕福でバイオリンを嗜んできた留利絵は、大学で管弦楽団に入団。他の部員を圧倒するほどの腕前ながら、自分にはプロになるのは無理だろうという事ははっきりとわかっていました。姉がいて一緒にバイオリンとバレエを習っていましたが、熱心に指導されるのは極めて優れた容姿を持つ姉だけでした。その姉は、よく父のモデルになっており、肉体関係があったのではないかと思わせられるエピソードが語られます。そして、その関係を母が知っていたかのような。容姿を蔑まれ続けた留利絵は、恋愛に諦念し、独特の屈折した価値観を持つに至ります。

そんな留利絵が大学に入って出会ったのが、宝塚に所属していた高名な母を持つ蘭花。自分と同程度の「いい育ち」をしてきたお嬢さん。蘭花視点だとわかりませんでしたが、息を飲むほどの美しい容姿を持ち、ここまで来ると男性からアプローチさえされないという超越ぶり。そんな蘭花と友達になりたいと願う留利絵。

蘭花が大学に入って交際を始めたのは、大塚という男。付き合い始めた理由が「ただ一人自分に告白してきた男だから」というもの。ひょんなことから、大塚がバイトしているコンビニを見つけ、自分で学費を稼ぐためにバイトに時間を描けなければならず、余り大学に通えていないという事を知り好感を抱きます。少しでも蘭花と話題が合うようにと、クラシックのCDを貸したりする仲に。しかし、ここからノコノコと大塚の家についていって抱かれそうになる、拒否すると興味なさそうにヤル気がないならということで興味をなくされる、蘭花がとっくに大塚と別れて茂美と交際していることを知る、というトリプルコンボが炸裂。

茂美と付き合い始めた蘭花ですが、ある日泣きそうな声で助けを求める電話がかかってきます。手持ちがなく、帰れなくなった蘭花を迎えに行き、茂美と菜々子の関係で塞ぎ込んでいるのを目にします。頼られたことを嬉しく思う留利絵ですが、ここで頼られるという事は女たちの関係の中で留利絵のいるポジションがまったくプライドを傷つけない残念な位置だということに気付けていません。

蘭花が社会人になると、蘭花の母から直々に「ルームシェアして一緒に暮らして欲しい」と頼まれます。事情を知ってか知らずか、留利絵の人格を見通した母が蘭花を守るために選んだ手段。部屋に茂美を匂わせるようなものを持ち込まなかった蘭花ですが、徐々に打ちひしがれていきます。「別れたほうがいい」というアドバイスも届きません。

ある日、蘭花を呼び出した茂美が、橋で待っている間にスマホを見てニヤニヤしているところを目撃。スマホの画面に写っている動画を見て絶句、蘭花の事情を察します。次の日警察が茂美の死を告げに部屋に来た時に、例のアリバイ証言で蘭花をかばいます。前後の描写から明らかに留利絵が茂美の口を封じたと思われましたが、違いました。

冒頭の結婚式のシーンの続きに。友人代表のスピーチで、留利絵が蘭花が話し始めた時に迫るパトカーのサイレン。披露宴会場に踏み込んだ警察が蘭花を逮捕します。茂美を突き落として殺したのは蘭花で、留利絵が口を塞いだ、とあったのは自分の口を塞いだことを指す表現でした。その後、証拠となるスマホを回収しなかった蘭花に替わって、動画の入ったスマホを回収していました。

よりによってこの日に警察が踏み込んできたのは、証拠のスマホを留利絵が警察に送りつけたから。乙田と結婚することになり、何の承諾の必要性も感じることなくルームシェア解消を進める蘭花の側にいるポジションをキープするためだけに。共犯として、全員の前で連行されていく留利絵。ストーカー的な友情ですね、怖すぎる。

面白くてあっという間に読めたんですけど、あらすじを書きだすのが大変でした。というか私の文章作成能力が低すぎ。

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