つるた部長はいつも寝不足 / 須河篤志(1)-(3)、美術の青春物語と妄想の止まらない女の子の組み合わせ

コミックフラッパーに連載していた須河篤志先生のマンガ。高校の美術部が舞台の恋愛？マンガでしょうか。ひたすらに妄想の止まらないつるた部長がどんどん周りを巻き込んでいきます。

超簡単な主要キャラクター紹介

キャラ名	説明
つるた部長	美術部の部長で主人公、コミックスの表紙は全部この部長。止まらない妄想で夜悶々として寝られずいつも寝不足
瀬戸	美術部で一番絵がうまい1年生、みんなの指導役。つるた部長が片思い
江原	造形に取り組む2年生
緒方	幽霊部員ながら、絵の腕前は随一。祖父が日本画の権威
保健室の先生	つるた部長の相談相手。つるた部長の悩みを性的に解釈してしまって、その進みっぷりにいつもタジタジ

基本は美術部で目の前の課題に取り組むつるた部長を描く、というものなんですが、何かあるたびにつるた部長の妄想が止まりません。最初は普通の美術部青春モノを描こうとしていたそうなんですが、なにか足りないという事で「妄想」を加えたようです。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

いまいちな腕前ながらもその集中力と責任感でつるた部長は美術部で頑張っています。が、デッサン聞いたらヌードにされるかもと想像し、エッチングときいたらエッチ進行形かと疑い、立体感をつかむためにカメラを手にしたら「露出」や「感度」という単語に異常反応。いつでもどこでもつるた部長の妄想が止まりません。

とはいいつつも少しずつ物語は進んでいきます。大きいのは瀬戸くんのお兄さんが登場した時。お兄さんはプロの画家・デザイナーとしてすでに有名。そんなお兄さんにボロボロにこきおろされ「人の指導してる場合じゃないだろ」なんて言われた日には、美術部全体で入賞を取って見返そうと頑張ったり。

芸術学生コンクールの結果、瀬戸くんは佳作、緒方くんは審査員特別賞、つるた部長は残念ながら落選。「くやしくてたまらない」「もっといろんな技術や知識を知りたい」「それでもっと楽しく絵が描きたい」と話すつるた部長に、「ボクが知ってる事なら何でも教えます」「今日からまたスタートです」と応じる瀬戸くん。

そうして美術部で夏は合宿でレベルアップを図ろうとなったんですが、合宿先でも出てくる瀬戸くんのお兄さん。瀬戸くんが自分が思うように人物を描けないことに悩んでいく中で、描く人物が好きに慣れていなかったことに気づいていきます。つるた部長にモデルになってほしいといい、アトリエに来てもらいます。ここでも妄想を爆発させて、いそいそと脱ぎ始めるつるた部長。これは、うらやましいんですが、瀬戸くん被害者ですね。

そうして描きあげた、つるた部長がモデルの作品は、瀬戸くんのモチーフへの愛があふれるほっこりするもの。いつも寝不足のつるた部長の優しい寝顔。芸術手帖なる雑誌で、グループ展で一際めだっていた作品として取りあげられています。

はっきりした区切りがあったわけじゃないんですが、3巻で完結になっちゃいました。作者によると、やり残したことや消化不良なことが結構あったみたいですが。pixivで裏話があるようなので、こちらもどうぞ。

www.pixiv.net