生まれる価値のなかった自分がアンナのためにできるいくつかのこと / 永瀬ようすけ(1)-(3)、やり直しの人生で欲望の限りを尽くす無職中年のおっさん

とんでもなく長いタイトルですが、ラノベではなくマンガ。

タイムスリップもので、主人公の和也は32歳無職で、うだつの上がらない人生を送っていましたが、ひょんなことから小学校時代に戻ります。普通のタイムスリップものと違うのは、戻った和也が未来に何が起こるかを知り、ただ一人精神年齢が大人であることを利用して、自らの邪悪な欲望を満たそうとするところ。

絵柄がちょっと押切蓮介先生に似ていますね。ほんわかした絵柄っぽいですが、話はかなり陰鬱な展開を見せます。

簡単なキャラクター紹介

キャラ名	説明
向井和也	32歳無職のマンガ家志望から、小学6年生にタイムスリップ
保田杏奈	和也の幼馴染みにして初恋の人、京太と結婚していた。タイトルになっているアンナ。
小杉京太	和也の幼馴染み、杏奈と結婚していた
外海(とのがい)いづる	杏奈の従姉妹で同じ小学校に転校してくる。和也の20年前の記憶では登場しない人物

あらすじと感想(ネタバレ注意)

20年前の世界へと戻り、小学6年生となった向井和也はやり直しの人生を自分の欲望のままに生きることを選択します。20年前の世界に戻るまでのも最悪で、小学校に忍び込んで女子の体操服を使っていかがわしいことをしているところを警備員に発見され、逃げた先の屋上から飛び降りて死亡したと思ったら20年前に来ていました。

手始めに自分をいじめてきていた同級生の相田慎也を、交通事故が起こることを知りながらあえてそこに誘導して死なせます。そして早熟な体を持つ九条郁美には肉体関係を迫り、自らの性欲を満たします。最終的な目的は初恋の相手である保田杏奈を自分のものにすること。杏奈を落とす計画を練っていると、和也の記憶にない転校生の外海いづるがやってきます。転校直後から明確な殺意を和也に向けるいづる。

20年前から杏奈の思いが京太に向かっていて、自分に振り向くことは決してないことから、和也は強硬手段に打って出ます。学習発表会の最中、京太を偽って体育倉庫に呼び出した杏奈を無理やり犯そうとします。間一髪助けに入って窮地を救ういづる。あきらめない和也は修学旅行で、自らの奴隷になった郁美を使って、いづるを引き離した上で杏奈が一人いる部屋に入ります。しかし、そこにいたのは同級生の二ノ瀬さつき。いづるの指示でさつきと杏奈は部屋を入れ替えていました。しかし、開き直った和也はそこでもさつきを暴行。心を病んださつきは、杏奈のことを思いながら自殺。

ここに来て、和也といづるの対立が決定的になります。「ママを守る」と言い、和也を殺そうとするいづる。いづるは和也と同じように未来からやってきた杏奈の娘でした。未来でのいづるの父親は和也。20年前に戻って、やり直した和也が小学校6年生の時に杏奈を暴行して生まれた子。学習発表会の体育倉庫での行動がそれですね。いづるが大きくなった時に、心の中で思っていた京太が他の女と付き合っていて自分が一生幸せになれないと絶望して杏奈は自殺していました。

学校を舞台とした和也といづるの壮絶な殺し合いの中、和也の記憶が蘇っていきます。実は和也が20年前に戻ってくるのは2回目。一度人生をやり直した後、欲望のままに杏奈を襲い、何食わぬ顔でリア充になっていましたが、杏奈の娘によって殺されて再び小学校6年生に戻ってきていました。そして、何故か杏奈の従姉妹のいづるの心が杏奈の娘と入れ替わっていました。

2人の殺し合いの決着は、いづるが和也を道連れに屋上から飛び降りるという形で着きます。瀕死になりながらも、何度でもやり直してやると話す和也に、どこまでも追いかけて何度でも殺してやると宣言するいづる。エピローグは、無事中学に進学できた杏奈の様子が描かれます。また会えるよね、と話すところからはいづるが未来の娘であることを知っているかのような。

このあらすじを見て読みたいと思う人がいるなら止めませんが、なかなかきつい展開の連続ですよ。でも、読みだすと止まらない引き付ける何かがあります。まったくもってハッピーエンドっぽくないですが、和也を止めるためにはこうならなければならなかったのでしょう。