ここはボツコニアン / 宮部みゆき、ボツネタでできた世界を本物にするために冒険に旅立つ双子

宮部みゆき先生が送るファンタジー小説、のフリをしてRPG世界をメタりつつ双子のピノとピピの冒険を描きます。舞台となるボツコニアンは、ゲームのボツネタが集まった世界。伝説の「長靴の戦士」に選ばれた2人が、ボツコニアンに本物の世界のエネルギーを取り込んでより良い世界にするために冒険します。

キャラクター紹介

キャラ名	説明
ピノ	ピピの双子の弟
ピピ	ピノの双子の姉
トリセツ	植木鉢の姿をした解説役

ピノとピピの2人をまとめて呼ぶときはピノピ。

ボツコニアンの説明

ゲームのボツネタが集まった世界。ピノピがいるのはロヲラン西大陸にあるモルブディア王国。この国を支えているのが魔法石から取り出せるエネルギー。過去に魔法石を巡って争いもあったそうですが、気まぐれな魔法石は勝手に分かれたり、戦争しようとすると姿を消してしまったりするので、結局平和に。その石は少しずつなくなっていて、神様に魔法石をもらうお願いをしに行く勇者の枕元には長靴が降りてくる、という設定の世界。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

ピノが12歳になって目覚めると枕元には赤い長靴。長靴を持って鑑定課へ行くと、アタリという判定。足元に穴が開いて落ちたかと思うと、そこで黒い長靴をもった女の子と出会います。そして唐突にしゃべり始める植木鉢。女の子はピノの双子の姉のピピ、植木鉢は世界の取扱説明書(トリセツ)だと名乗ります。

ピノとピピは双極の双子で近くにいると不思議なことが起こるから、離れて育てられたとかいうとってつけたような事実が明らかになったりもしますが、とにかくトリセツが言うには2人の役目は「ボツコニアンに本物の世界のエネルギーを取り込んでより良い世界にすること」。

チュートリアルでドラゴンとの戦い

「封印が解かれた」と言い、世界の変化を見に行こうとしたら、さっそく空龍(エア・ドラゴン)が襲い掛かってきます。トリセツいわく、冒険のチュートリアル。空龍はボツコニアンの封印を守る門番のモンスターでしたが、封印が解かれたことで無職になってしまった恨みを晴らそうとピノピに襲い掛かってきます。

「わかったよ、だからボツなんだ！」「難しすぎるチュートリアルだ！」

空龍の炎をかわしながらある家の中に飛び込むと、龍の動きがおかしくなってきます。よく見ると体にはツギハギ。金属の箱をいじりながら「遠隔操作はダメだ」とかいってるおっさん。どこかで見たことあるなと思ったら、鑑定課にいたおっさんでした。長靴の勇者が出てきたら、すぐチュートリアルを始められるようにという配置で、ロボットの空龍を操作していたというネタバラシ。ボツネタっぽいですねー。おっさんの正体はルイセンコという科学者でした。

王都の地下迷宮へ

チュートリアルを終えて王都へ向かった二人。

王都といえば、それは王都ですから、でっかくて立派な都市です。あとは頼むぞタカヤマ画伯

宮部先生の雑な王都描写に対応して、挿絵にちっちゃく「こんな感じでどうでしょう？」と書いて、王都についたピノピの2人が描かれてます。

王都では封印が解かれてから爆発があって地下に迷宮が出てきたことが明らかになります。と思ったら、丸いおばさんから2人を「長靴の戦士」と分かったうえで迷宮の地下10階まで弁当を届けてほしいと頼まれます。迷宮は、おばさんの旦那さんが爆弾操作をミスって地上に穴をあけてしまったとか。地下10階にいるのはハンゾウというニンジャだと言われます。

変な動機で迷宮探索に向かった二人は、いろいろ障害を潜り抜けて地下10階まで到達。ハンゾウに出会います。そこは、ニンジャの訓練所でした。ここで修業を積んだニンジャたちが、本物の世界に送られる、と言われます。

ニンジャの訓練所で修業を積むことになった2人。ピノはニンジャの技術を、ピピは魔法を習得します。ピピに魔法を教えてくれたのはモンゾウ、ハンゾウのお兄さんにしてモルブディア王国の国王。

二人が旅立つときにピノにはなぜかフライ返し、ピピには魔法の杖が贈り物として渡されます。王様からもらったベストが、あったかいところに行きたいと言っているとかで、南にある水の街アクアテクに向かうことに。

アクアテクに向かう途中でカラク村に寄り道して再びルイセンコが出てきて、マッド・サイエンティストぶりを発揮したりしつつ冒険は進んでいきます。最後に「ところで、水の街アクアテクはどっち？」なんて言っちゃってますが。

高山先生のかわいい絵と、宮部先生のかるーい筆致がマッチしてサクサク読めて面白い冒険譚。全5巻で完結したそうなので、読み進めていくことにします。