帝国主義全盛期のヨーロッパを舞台にしたミリタリーマンガ。熱い展開の物語もさることながら、武器や戦略に関する緻密なネタも見所で、目が離せません。
これまでのあらすじ
「軍靴のバルツァー」の舞台になっているのは、19世紀のヨーロッパをモデルにした帝国主義国家。軍事大国ヴァイセン(モデルはドイツ)から同盟国バーゼルラントの士官学校教官に任命されたベルント・バルツァー少佐(主人公)は、軍事的に遅れ平和に慣れきっている教官や生徒たちを相手に難題や戦闘を乗り越えて信頼を獲得していきます。
バーゼルラントでは、2人の王子フランツとアウグストが対立していました。バルツァーは親ヴァイセン派のアウグスト王子を補佐する立場となります。対するフランツは、ヴァイセンと敵対するエルツライヒ帝国をバックに付けたリープクネヒトを腹心としていました。
アウグストがバーゼルラント王国の2人の王子の血統の秘密を明らかにして王政を廃止しようとするのに対して、フランツはエルツライヒから潜入した精鋭舞台と共にクーデターを決行します。アウグストのいる士官学校は包囲され、危機に陥っています。
すでにアウグストから軍事顧問の職を解雇されてヴァイセンに戻っていたバルツァーは、バーゼルラント士官学校の危機を知り、バーゼルラントに向かう手立てを探ります。
Wikipediaのあらすじもなかなか詳しく書かれていますね。
スピンオフに「軍靴のバルツァー外伝 リープクネヒト放浪編」があります。バルツァーと並んで作中で重要なポジションを担うバルツァーの親友にして仇敵という役どころ。私が好きなキャラクターです。
8巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)
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クーデターを率いているのはヨーゼフ・フォン・レンデュリック大佐。エルツライヒ砲兵の父と呼ばれるほど砲術を知り尽くしています。強固な壁で守られている士官学校に対して、大砲でせめて行きます。対する士官学校側も周辺地理を知り尽くしていることから、相手の砲台の位置に当たりをつけて反撃。
なんとかバーゼルラントの状況を知りたいと思っているバルツァーに、ヴァイセンの政治警察が接触してきます。政治警察を指揮していたのはヴァイセン国王。国王直々にアウグストの救出を頼まれます。ヴァイセンの軍部は内戦に乗じてバーゼルラントに派兵し、保護下に置くことを目論んでいましたが、国王は対話による同盟を考えていました。
一度はバーゼルラント行きの指令を保留にしたバルツァーでしたが、政治警察が集めた情報を元に士官学校にアウグストだけでなく国王もいるということを推測します。学校にある大量の兵器と、自分が鍛えた生徒たちにバルツァーが加われば十分クーデターを抑えて王子たちを連れ出せると参謀総長に提案し、バーゼルラントへ向います。
なんとか戦況を五分に保っていた士官学校ですが、レンデュリックの戦略が徐々に上回ってきます。都市部に砲台を設置しての砲撃に対して、場所は特定できても自分の身内に当たる可能性がある以上、士官学校側は大砲での反撃はできません。士官学校の外に出ていたユルゲンが市民を動かして、都市部を戦場にしないようクーデター軍に働きかけます。しかし、これはレンデュリックの時間稼ぎでした。本命は塹壕も城壁も1発で破壊できる高火力な大砲。組み上げるのに時間がかかるのが難点でしたが、設置が終わると1トン級の火力でとうとう士官学校の塹壕や壁が破られます。
相手の突撃が始まり、士官学校側の士気も落ちてきて絶体絶命となった所で、敵陣の上から反射光による暗号で情報を伝えてくる気球が見えます。本来ならわからないはずの、相手の陣地の正確な場所と着弾位置で逆転の目が出てきます。この気球に乗っていたのがバルツァー。追い詰められた危機に颯爽とヒーローが登場する熱い展開。
銃と騎兵との戦いも面白かったんですが、砲術戦はそれを更に上回る面白さがあります。単なる撃ちあいではなく、「半数必中界への砲撃で牽制」なんて高度な用語が飛び出したりしてます。
- 作者: 中島三千恒
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