銀狼ブラッドボーン / 雪山しめじ / 艮田竜和(1)(2)、老吸血鬼ハンターが世界を救うため現役復帰

「漫画界のルールと伝統をぶちこわす。」がモットーの裏サンデーで連載している銀狼ブラッドボーン。原作の艮田竜和先生は裏サンデー内で開催された連載投稿トーナメントを勝ち上がって連載がつかみとりました。

ヴァンパイアハンターが人外の怪物と戦う物語なんですが、渋い1巻の表紙にあるように主人公はかつて最強だった老いた70歳のハンター。衰えが見える肉体を酷使して、国を揺るがす怪物との戦いに身を投じます。最初から熱い展開で、この熱量で続けていけるのかちょっと心配していたんですが、単純な怪物退治から軍の陰謀が絡んで骨太なストーリーになってきてますます面白くなってきています。

~~無料Webコミックということでただで読めるので~~漫画の裾野が広がっていけばいいと思って裏サンデーは応援しています。このマンガももっと認知度が高まってほしいですね。

キャラクター紹介

キャラ名	説明
ハンス・ヴァーピット	吸血鬼との戦いに終止符を打った希代の吸血鬼ハンター、現在は隠居した70歳のおじいさん
ココウィル	ハンスと暮らす少女の半吸血鬼
グリム	連続殺人を起こした歯の怪物
ファウスト	ハンスが倒した吸血鬼の王
レイフ・ブランドン	ハンスとともに吸血鬼と戦った銀狼団副団長。グリムの手によって蘇る

1巻と2巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)

サンサロドという市で起こった6件の連続殺人事件、被害者は全身の骨という骨を抜き取られていました。巨大な口を持つ化け物を使役する優男が、次々と人々を殺していきます。警察署では、検死結果から死体に唾液が残されていたことから化け物による捕食だったと推測。長きにわたった吸血鬼との戦いに終止符を打った吸血鬼ハンター、ハンス・ヴァーピットに捜査協力を依頼します。

吸血鬼が居なくなり、人類に危害を及ぼす化け物はいなくなったと思われた中での事件で、ハンスが駆り出されたのはあわよくば事件解決、できなくとも討ち死にしてもらえればというのが警察の目論見。化け物の存在を民衆に知ってもらって平和を脅かす化け物の存在に危機感を抱いてもらればと考えました

ハンスが捜査を開始してすぐに、警察署が襲撃されて警察官がほぼ全滅します。銃弾が効かず、人間をその大きな口で喰いちぎる化け物に対して、銀合金製のウォーハンマーで挑むハンス。警察署を襲った化け物を倒すと、化け物を使役していた優男が姿を現します。

男はグリムと名乗り、連続殺人はハンスを引きずり出すために起こしていたと語ります。圧倒的な実力でハンスを倒すと、心臓に何かを埋め込んで去っていきました。

一命をとりとめたハンスが、少しでも現役時代の力を取り戻せるよう感覚を研ぎ澄ますのに対して、グリムは死人を蘇らせて戦力として堂々とマスコミを集めて宣戦布告します。さらに、ハンスが35年前に倒したはずの吸血鬼の王ファウストも現れてカオスな状況になってきます。衰えたハンスでは手も足も出ないファウストですが、ファウストの目的もまたグリムでした。「貴様は、奴のこともあの忌まわしい研究のことも何も知らんのだな」と話し、トドメを刺さずに去っていきます。

そこから明らかになってくる人間側の暗部。人間と吸血鬼の戦争の裏では、軍部が吸血鬼の体を使って不老不死の研究を行っていました。グリムはそのことを示唆したうえで、歯の怪物を操るだけではなく「死者蘇生」の力を持っていることもハンスに話します。ファウストが欲しがっているのも、その死者蘇生の力だとも。

グリムが軍の暗部を仄めかしたことで、警察が全滅していることもあり怪物を倒すために軍隊が出てきます。その軍隊を赤子の手をひねるように倒すのが歯の化け物を率いたハンスの盟友レイフ・ブランドン。全盛期の肉体で蘇ったレイフにハンスが挑んでいきます。

単純にお爺さんハンターが化け物と戦うだけでもカッコよくてオススメなんですが、吸血鬼の王や復讐を胸によみがえった盟友との戦い、軍の暗躍など重厚なストーリーも素晴らしくて、連載が進むたびに加速度的に面白くなっています。裏サンデーが本当に熱い。