R-1ヨーグルトによるインフルエンザと癌の予防効果についての考察

インフルエンザ予防に有効などという噂が聞こえてくるR-1ヨーグルト。NHKでその効果を検証する番組が放映されたとか。数十年生きてきて、何度も何度も何度も、あの食べ物が病気に効くだの、ダイエットに有効だのといった話がバブルのように浮かんでは消えていくのを見てきました。R-1ヨーグルトは本物なんでしょうか。

2009年に発売開始され、2012年にNHK総合テレビ「あさイチ」とフジテレビ「情報プレゼンターとくダネ!」で特集されてから、人気に火が付き一挙に品薄状態となりました。現在もクチコミでインフルエンザ予防になると言う事で、量からすると割高ながら他のヨーグルトと比較しても一定の売れ行きを確保しています。

すでにインフルエンザは終息に向かう季節ですが、R-1ヨーグルトの正体について考察して見ました。

特許にうたわれた効果

「R-1ヨーグルト」の名称は、使用される乳酸菌のOLL1073R-1(以下R-1)に由来しています。R-1の効果については、明治乳業が特許の中で示しています。出願は2004年7月9日、成立は2013年1月18日の特許番号5177728ですね。発明の名称は「NK細胞活性化剤」。要約には「本発明によりインフルエンザなどの感染予防、癌の予防、進行の防止などが可能となった」とあります。弁理士が書いたんでしょうけど、盛ってますね。肝心の中身はというと、

乳酸菌R-1はリン酸化多糖類を生成する
リン酸化多糖類はNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化する
NK細胞が活性化していると、免疫がちゃんと働くのでインフルエンザや癌になりにくい

うん、1,2,3全部嘘は無いですね。ただし3は、どちらかというとNK細胞がちゃんと働いていない人が病気になりやすい、といった方がいいでしょう。でも、ここからR-1ヨーグルトを食べてインフルエンザや癌を予防できると思っちゃうのは頭がお花畑ですね。特許に書かれた実証実験は、ヨーグルトや酸性多糖を投与したマウスの脾臓細胞NK活性を測っているだけ。こんなことは常識だと思うんですが、バランスよく食事を取っていればNK細胞のような免疫機構はちゃんと働きますよ。わざわざR-1ヨーグルトを食べる必要はありません。

論文でうたわれた効果

とある参考文献1)によると、山形県と佐賀県の健康な高齢者にR-1乳酸菌入りヨーグルトを長期間食べさせたところ、もともとNK細胞の数が少ない人は牛乳を飲んでいたグループ(対照群)に比べてNK細胞が活性化したという結果が報告されていますね。順天堂大学大学の研究です。

マスコミを賑わせていたのは、この研究成果を報告した竹田和由准教授が「R-1乳酸菌入りヨーグルトがインフルエンザワクチンの効果を高めたと考えられる」なんて喋っていたからでしたか。

私は、NK細胞の少ない人がヨーグルトを取ると栄養バランスが良くなって体質が改善したんだな、程度のことしか感じませんが、これでインフルエンザに効く！なんて報道してそれを間に受ける頭の足りない人が多いんでしょう。この研究、逆にもともと健康な人はR-1ヨーグルト食べたって、何も変わりませんでしたってことを間接的に証明しちゃってません？