金田一少年の事件簿のスピンオフ。主人公は若かりし頃の明智警視、スピンオフではタイトルにもあるように警部です。完全無欠のエリートとしての活躍が描かれます。
「歪められた思い」のここまでのあらすじ
17歳の高校生三宅孝則が5階建てのビルの非常階段から転落死した事件。非常階段に出る扉の前に立っていた桜田美緒という同級生が「自分が突き落とした」と供述し、そのまま逮捕されていました。
ファミレスのスタッフへの聞き込みですぐに桜田が犯人でないことを見抜く明智。桜田は高所恐怖症で、非常階段の扉を開けて進むことができませんでした。
結局自殺だったのかと思いきや真犯人は別にいると断言する明智。関係者として怪しいのは、ファミレス店長と店員の渡辺という男くらいですが、犯行時刻に2人の休憩が重なるようにしたのは三宅自身で、店長と渡辺はアリバイがありそう。
4巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)
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歪められた思い
明智はアルバイトの渡辺が犯人だという推理を披露します。2人が休憩にった時、トイレ掃除をしていたというアリバイがありましたが、それは嘘。非常階段で三宅を突き落としていました。
自分のアリバイを作るために、トイレを逆に徹底的に汚していました。掃除するのは時間がかかりますが、汚すのはごく短時間で済みます。非常階段からしか見えない西側に上がった煙のことを話していたのが決め手になりました。
動機は、非常階段でクスリをやっているところを三宅に目撃されたことの口封じでした。
奇妙な観察者
耳栓をして寝入ってしまい、ファンヒーターが不完全燃焼を起こして一酸化炭素中毒しそうな女性を助けるために、匿名で「殺人事件だ」という通報で警察に来てもらって無理やり扉を開けてもらう事件。匿名で通報したのは、自分が隣の部屋の女性を覗いていたのが後ろめたかったから、というオチ。
哀哭の放浪者
ワトソン役である小林刑事が胆嚢炎で入院。お見舞いに来た明智警部たちに病院の人たちから相談を持ち掛けられます。
夜勤担当だった御園さんという看護師が、勤務に現れず今も連絡が付かないままということでした。御園さんの自宅に行くと、「探さないでください」という意の書置きと、ごっそりとなくなった服がありました。明智は、自宅を訪れた時にタイマーがセットされていた炊飯器が気になり、事件を疑います。
病院に戻り、「幽霊が窓の外を通った」と噂していた少年の病室の真下を調べる明智。そこには奇妙にならされた地面と、折れた桜の枝がありました。まるで何かが落下してきてその痕跡を消すかのように。
明智の見立ては正しく、病院の死体冷蔵庫に屋上から転落死した御園さんの死体が隠されていました。犯人は間違いなく病院関係者。被害者の体に争った形跡はなく、気になるのは「犯人が死体を隠した理由」でした。
真相は、御園さんが医師と不倫をしていて、妊娠検査薬で陽性が出ているところを見てしまった医師が御園さんを突き放し、迷惑をかけないために飛び降り自殺していたというもの。その後、死体を隠したのは、調べられて妊娠発覚から自分に疑いがかかるのを避けるためでした。明智に乗せられて言質を取られてジ・エンドという展開。
五里霧中の密告者
小林が碓氷という同期刑事と呑んでいると殺人事件に遭遇します。居酒屋で米沢という男が死んでおり、すでに会計を済ませて店の外に出た同席者の「黒いコート、黒い帽子」の人物を小林が追いかけます。店の外でそれらしい女性を見つけるも取り逃がしてしまいました。
女性がバッグを残していたことから、すぐに身元が分かり、杉田という泥酔の常習犯だったことがわかります。死んでいた米沢は、2週間前路上で喧嘩の末に亡くなっていた男の被疑者でした。
フリーライターである杉田のスマホには、米沢との会話が残されていました。その内容から杉田はライターとして米沢に取材していたことがわかります。
明智は、杉田が居酒屋から出て逃げるのではなく警察署の方向に向かっていたことが引っかかります。最後は、その杉田が警察署の駐車場で花壇脇のスペースで死んでいるかのような描写が。まだまだ事件は始まったばかり、というところで終わってしまいました。
サクサクと推理がテンポよく進むので、金田一と比べると気軽に読めますね。これ見よがしなミスリーディングを持ってくる演出もよくできてる。
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