ネット上で切り抜いたページが拡散されて一部で大きな話題となった「クロエの流儀」。セリフの部分を入れ替えたコラも出回っていました。
クロエは東京都立海月高等学校に通う女子高生。親とともにフランスから日本に来て、高校に通っています。時代劇を見て日本語を覚えたため、話し方が武士口調になっています。
1話が7ページと短く、マナーやモラルに欠けた人をクロエがズバリと切って捨てるシーンが特徴的です。クロエが話すシーンは正直言って、痛快!といえるほど心地いいものではなく、読み進めていくとなんとも言えない不快感が広がっていきます。
「だまれ」「通話がうるさいわけではないが、許されてるつもりのキサマがムカツク」「明日から玄関出るときにまず脳ミソのマナーモードをオンにしておけ、フトドキモノ」
「オマエこそエラソーなことは全部、自分で稼いでから言え」「学費も食費も親の金であろう?安全なトコで吠えておるのはお前の方だ」「せいぜい親の金を無駄にせぬよう、卒業と自立でも目指しとけ」
レビューは辛辣で、はっきり言って炎上しています。炎上すればするほど、話題になって売れるので作者や出版社にとってはうれしいんでしょう。
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ネット上の声を総括すると、作者が不満に感じた事をクロエというキャラに代弁させているだけ、そのキャラに外国フランスから来た女子高生というラベルを付けることで反論できないようにしている、という意見が多いようです。ただ、不快になる理由はそれだけじゃないと思います。
フランス人だから言いたいことをはっきり言う、なんてことは実際にはありません。むしろ海外の人の方が他人に無関心で、日本人の方が同調圧力をかけがち。他人を表立って批判する、なんて人はどこの国でも少数です。そこにフランスからの留学生というラベルを付けると、かえってフランスを貶めることになってしまいます。
少なくとも実社会では「あなたの意見はおかしい!」とか言う前に、なぜそんなことを言うのか、そんなことをしているのかを考えて、それでもわからなければ尋ねる、というプロセスが踏まれます。突如として他人の非難を始めるのは、とてつもなく失礼なことです。ましてや、ふざけているとしか思えない時代劇口調ですからね。これも、少しでも表現をマイルドにして作品を特徴づけるためだったんでしょうけど、逆効果になっている気がします。
クロエにやり込められる登場人物は確かに迷惑行為をはたらいたのかもしれませんが、正義の側のクロエがやっていることは失礼な行為そのもの、という自縛に陥っています。
- 作者: 今井 大輔
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