PHMPK.LOG

漫画、ゲーム、投資、育児

広告

凡庸な野球マンガになり果ててしまったBUNGO

広告

BUNGO―ブンゴ― 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ヤングジャンプに連載している野球マンガの「BUNGO」。地味ながら安定した人気があります。最初は熱中して読んでいたんですが、連載が進むにつれて面白味がなくなり、凡庸な野球漫画になり果ててしまいました。

ちょっと面白そうだな、という要素を作者 or 編集がことごとく潰してしまい、ありきたり路線に持って行ってしまうのです。展開もキャラも他のスポーツマンガで見たようなものばかりで、読んでいてわくわくする要素がありません。逆にそのことによって、「普通に面白い」という安定した評価を獲得して連載が続いています。

発達障害の主人公BUNGO

タイトルのBUNGOは、主人公の名前、石浜文吾(いしはまブンゴ)から。未経験ながら中学に入ってからシニアで野球を始め、めきめきと頭角を現していく、というストーリー展開になっています。

文吾の武器は、好きなことをとことんまで追求する、という性質。1巻の最初は台風の日ですら壁当てでボールを投げ続ける、というシーンで始まり、そのことを象徴しています。

水槽の金魚育成だけに異常な集中力を発揮し、外に出ないことを心配した父と姉が文吾にグローブとボールを与えたら、それから3年間ただひたすらに壁当てをやり続けます。どうみてもアスペルガーっぽい発達障害のある少年という描写でした。枠の中に速いボールを投げ込むにはどうすればいいか、という課題にのみ没頭し続けた文吾。文吾の投げる球に興味を持った名門シニア監督の息子との勝負を経て、中学に入ってからシニアに入門します。

ここまでは、なかなか魅せるなという雰囲気が漂っていました。主人公が発達障害というのも新しい。さらに、それまで右で投げていた主人公が、実は左利きだったということが明らかとなり、ぎこちないフォームながらも右投げで鍛えられた筋肉から凄まじい回転数の球を左で投げられるということが明らかになり盛り上がってきます。

左利きだったのみ、右でボールを投げていたのは、父親が買ってきたグローブが右利き用だったから。たくさんあるグローブでどれでもいいから適当に選んだと話す父。インドアでスポーツを知らないからグローブがわからないという点は理解できるにしても、壁当てにはグローブ不要だし、2歳児や3歳児でも利き腕で投げるのが普通だということくらいわかりそうなものです。この父親も明らかに何らかの学習障害で、親子で障害が遺伝したという設定なんでしょう。

広告

作者のやらかしネタバレ

よくある野球マンガの主人公の型にはまっておらず、大きな可能性を感じさせますが、ここで作者 or 編集がやらかしてしまいます。1巻の表紙に左で投げる主人公を描いてしまいました。1ページ目で、右で投げてひたすら壁当てをする描写があるというのに、読む前から表紙でネタバレされてしまう読者

BUNGO─ブンゴ─ 1 (ヤングジャンプコミックス)

BUNGO─ブンゴ─ 1 (ヤングジャンプコミックス)

連載開始→単行本が出ることになる→表紙を描く、という流れの中で第1話に何を描いたか忘れてしまったんでしょうか。

シニアに入り、魅力的なライバルや仲間たちが登場しますが、この魅力的なキャラってのがはっきり言って凡庸で全然面白くない。

  • 死んだ兄の遺志を継いで野球を続けるも、女だから甲子園に出られないことを気にしている運動神経抜群のヒロイン

  • 監督の息子で、まじめで努力家で何の変哲もなく実力のあるライバル

潰れていく面白そうな要素

しかし、面白くなりそうな要素はそこかしこに散りばめられているのです。ライバルという立場ながら主人公に惚れこんで、左では全力でストライクゾーンに投げられない文吾の練習に付き合い、デッドボールを受けまくるシーンなんかはそう。狂気を孕んでいる一面があるのかと思わせますね。いずれはプロになりたいだろうに、しょうもないケガのリスクを冒しすぎでしょ。

他にも、エースピッチャーが絶大なポテンシャルで「オブザーバー」とあだ名されるほど、打者の観察眼に優れ、投げる瞬間に打者を翻弄するために球種を変えるというキャッチャーいじめをしたり。中学生ながら、将来を考えているのかどうか知りませんが、きわめて負担の大きい変化球であるスプリットを投げまくったり。

レギュラー決めで主人公の投げるチャンスが1回しかなくて、見せ場もなかったのに、選抜メンバーの4番目の投手枠に選ばれたり。本来選ばれるはずの4番目の投手が、肘を痛めて辞退。中学生投手で肘を痛めるほど投げるというシニアの闇が描かれていますね。嫉妬渦巻くドロドロした展開があってもよかったのに。お涙頂戴の、期待を背に受けて俺たち頑張るぜ的なやり取りは当たり前すぎていらない。

深く切り込めば面白そうな要素はありそうなのに、普通の熱血展開に持って行ってしまってます。頭のおかしかった主人公も、キラキラした目で「甲子園を目指していれば、想像できない『本気』達とぶつかりあえる」と、猛者との戦いを追求する普通の挑戦者然とした思考回路になってしまいます。違う、そうじゃないんです。

主人公のいるチームは、現在リトルシニア日本選手権の関東大会に挑んでいますが、とにかく普通、普通な展開で勝利していってます。主人公の出番はとにかく少ない。なぜなら、シニアでは連投したらダメだし、投球回数にも制限があるから。タイトルに主人公の名前を付けて、投手にしたのは失敗じゃないの?と思わずにはいられません。それでもまあ、主人公以外のキャラたちの熱いぶつかり合いという凡庸な野球マンガ的展開で今のところは続いています。

もっと、もっと狂った描写が欲しい。熱血キャラばかりじゃなく、狂気を孕んだ発達障害キャラクターを出してほしい。主人公は熱血キャラに変えないでほしかった、そう強く思います。まだ主人公は中1なので、ここから成長して、巻き返す展開に期待しています。

BUNGO―ブンゴ― 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 4 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 4 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 5 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 5 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

BUNGO―ブンゴ― 6 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

関連エントリ

phmpk.hatenablog.com

phmpk.hatenablog.com

phmpk.hatenablog.com

phmpk.hatenablog.com

広告

広告