チャンピオンで連載していたミドリノユーグレが完結し、4巻が発売されました。テーマになっているのはミドリムシ。食用や環境改善、エネルギーなど様々な応用が注目されています。
主人公の父親がミドリムシの研究者で、効率的な培養を目的として、ミドリムシの巨大化を成し遂げ、悲劇が始まります。
あらすじと感想(ネタバレ注意)
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ボルテクスカンパニーという企業でミドリムシの巨大化を研究していた豪家宇郎(ごうやいえろう)は、ミドリムシを凝集させて生命力を上げる研究成果を出します。
しかし、その成果をボルテクスカンパニーは、社内で軍事転用可能な技術を研究する部署で、凶悪な兵器に転用し始めます。
研究を止めるため、電力供給を止める宇郎たち。ミドリムシは、光を遮断されると周囲のものを捕食するという性質があったため、巨大な怪物となっていたミドリムシたちは、研究所の研究員を捕食し始めます。化け物を外に出さないため、研究所は封鎖されます。
父の死の真相を突き止めるため、ボルテクスカンパニーを調べ始める17歳になった宇郎の娘である翠。ボルテクスがさらに研究を進め、全人類をミドリムシ人間に進化させることを目的としていることを知ります。世界中で、夜になると人に噛み付いて襲いかかり、最後は車のランプめがけて飛び込んで死ぬ人間が発生していました。
東京オリンピックでその野望を明らかにしたボルテクスは、自社のユーグレナサプリを飲んだ人間を強制的にミドリムシ人間に変えていきます。適合しない人間は死ぬだけ。
翠は、父が作ったミドリムシを制御する技術であるニューログレナで、すでにミドリムシを体に宿してしまった人からミドリムシを取り除くことに成功します。世界を支配しつつ合ったボルテクスですが、その技術の情報が広がると世界中が団結して反旗を翻し、人類とミドリムシ人間の戦争が始まります。
すべてのミドリムシ人間を操っていたボルテクス社長の備後を倒すことに成功しますが、ミドリムシ人間は止まりません。アメリカはミドリムシ人間が集まっている東京への核攻撃を決断。しかし、核の爆発のエネルギーを吸収し、すべてのミドリムシ人間が集まった巨大なミドリムシ集合体を生み出してしまいます。
その生命体を止めるために中心部へたどり着いた翠は、黒幕の正体を知ることになります。備後でさえも駒にしてミドリムシ人間を操っていたのは翠の父、宇郎でした。ミドリムシに捕食されるも、家族を守りたいという強い意志でミドリムシと融合して生き抜いていました。
自分の家族が翠たちかミドリムシかわからなくなった宇郎は、みんなが一つになれば平和で争いもなくなるという結論に至り、全人類のミドリムシ人間化を進めていました。
翠との戦いで、宇郎は本当に守りたかったものを思い出します。取り返しのつかない罪を犯したと語る宇郎は、すべてのミドリムシ人間と融合した緑神体として地球を離れてはるかな宇宙へと旅に出ます。
チャンピオンで、人間を作り出した生き物でありながら、人間を捕食する化け物との戦いを描いた「BMネクタール」という作品がありました。私はかなりの名作だと思うんですが、認知度はいまいちな気がしますけどね。読みながら、BMネクタールは超えないなあ、という感想です。最後の展開は、「緑の王」っぽいですね。
超人バトルモノもパニックホラーモノもやや食傷気味の現代。ミドリムシからどういう風に話を展開するのか楽しみにしていたんですが、これじゃない感満載の方向に進んでしまって残念です。台詞回しや強烈なキャラクター、ストーリー構成など優れているように感じられたので次作に期待します。
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