「ホイッスル」と言えば、かつて少年ジャンプで連載していた人気サッカー漫画。アニメ化もされて、ジャンプの中では確固たる地位にありました。
そのホイッスルの続編が、集英社から小学館へと場所を移して始まっています。
ホイッスルの歴史
1998年から2002年まで少年ジャンプで連載。主人公の風祭将が桜上水中学校で成長し、活躍する姿が描かれました。
2004年以降の赤マルジャンプや、文庫版の描き下ろしを総合すると、将はU19→ドイツでリハビリ3年→ジュビロ磐田でレギュラーを目指して奮闘という道筋を歩んだことがわかります。
2014年になって出た続編の「サムライファイト!」で、イリオンと結婚して男女1人ずつの子どもの父となった将。息子の名前は蒼で、高井がコーチに。
2016年になり、東日本大震災で家族を失った黒瀬拓海と、天城燎一の息子である煌牙の2人を主人公とした「ホイッスル W」が裏サンデーで連載開始。
Wのタイトルを冠するように、2人の主人公が登場します。2巻までで、まだストーリーは序盤で、これから面白くなるかもという雰囲気はあるのですが、現在のところまでは、はっきりいうと全然面白くないです。
何がダメって、物語の核となる2人の主人公の描かれ方がいろいろひどすぎるのです。
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天城煌牙(てんじょうコウガ)
名字でわかると思いますが、天城燎一の息子です。強烈なシュート力と個人プレー大好きという性格はそっくり。天城燎一は、父の秘書と結婚して、日本代表の選手としてバイエルンで活躍中という設定。燎一の妹イリオンは、ホイッスルの主人公である風祭将と結婚しているので、義理の甥っ子になります。
拓海と対比させるためだとは思いますが、性格はとてつもなく嫌な奴として描かれています。お金持ちの一人息子で、自分がサッカーエリートであることをひけらかしつつもサッカー部に入りません。自分の子分たちにサッカーと称して、自分だけが楽しいシュート合戦を強います。そこから、ちょっとずつ変わっていき、サッカーは複数人でやるスポーツだということ理解していくんですが、人格まで変える訳にはいきません。
金持ちなので、個人コーチを付けてのトレーニングはもちろん、練習場所にもことかきません。そもそも、通っている学校からして名門、そりゃうまくなるよねとしか。成長物語としてみると、たしかに最初は下手といえますが、そもそも身体能力が飛び抜けているので、読者はしらけてしまうのです。そして、もうひとりの主人公拓海は、サッカーできない環境にいるだけで登場した瞬間から抜群のうまさをもっていました。
黒瀬拓海(くろせタクミ)
東日本大震災で家族をなくし、東京のおじの家に暮らすことになるもうひとりの主人公。兄の天希は、プロにはまだなっていませんでしたが、将来を嘱望されているときに津波で命を落とします。
煌牙と対比させるためでしょうが、結構いじけた暗い性格として描かれています。さらに輪をかけて嫌なのが、学校の放射能イジリのシーン。地震から6年経って、小学校でサッカーに興じている子どもたちが、福島からの転校生を「放射能が伝染る」などと言ってからかうシーンはちょっとあり得なさすぎますね。人によっては不快かも。そして、拓海は福島ではなく宮城の石巻出身。
こちらは、煌牙と比較すると、最初から圧倒的にうまくて成長の予知がないという問題点を抱えています。転校する前にすでに、東北選抜のU-12に飛び級の10歳で入るほどの才能。
予想されるこの後の残念な展開
1巻の最初に中学生になった2人が、2トップで活躍するシーンがありました。そのシーンにつなげるために、2人が友情を育んでいくんでしょう。読者からすると、あまり好きになれそうにない2人が、俺TUEEEEする物語になってしまうことがわかっているのが残念ですね。せめてもう少し精神面以外の成長要素を入れられればよかったのかもしれませんが。
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