2巻で完結の「カツカレーの日」。主人公の女性が結婚で幸せをつかむまでを描きます。いつも通り、女性中心で次々にいろんな男たちが出てきて、ウダウダ悩む主人公に様々な気づきを与えてくれたり、グイグイ来たりします。
ざっくりとしたあらすじ
ゼネコン系会社員の斎藤美由紀(28)は、1歳年上の売れない劇団員の一法師護と別れて、安定した結婚を目指して婚活をスタート。
婚活で紹介されるのは、それぞれどうしようもない欠点を持つ男たちばかり。疲れてフラッと立ち寄った喫茶店が読書喫茶で、読みたい本もないことから、客が自由に思ったことを書くノートを手に取り、自分の悩みを吐露して書き込みます。
美由紀の悩みを見つけて、ガツンと書き込んだのが20歳以上年上の高橋という男。ノート上だけですが、悩み相談とその回答という形で二人の交流がスタート。
最終的に美由紀の前には、美由紀のことを思って就職を決めた一法師、穏やかでときめきはないものの安心感を与えてくれる公務員の斎藤、恋愛相談に答えていた20歳以上年上でカンボジアで建設会社を設立しようとしている現場一筋の高橋、という3人の魅力的な男たち。幸せをつかむために、美由紀は答えを出します。
結末と感想(ネタバレ注意)
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3択に悩んでいる様に見えましたが、高橋は実は美由紀の父親で、最終的に美由紀は一法師を選びます。さらに一法師は劇団員をやめずに夢を追い続けることに。
まあ、この結末はなんというか、本当に好きになれる人、お互いを思い合える人を選んだということで納得感があります。私から見ると、高橋を除けば、一法師に至るまでに婚活で出会った男たちは、超好条件であるというだけでなく、性格的にもかなりよさそうに思えましたけどね。
婚活で出会った男たち
自分のプロフィールをひたすら話し続ける銀行マン。わずかな時間で、「育児に積極的に参加したい」「新居となる不動産取得の見込みがある」「転勤がない」「二世帯の可能性はない」などの安心条件をちゃんと提示する誠実さが見えます。美由紀の名前を間違えているという致命的なポイントもありましたが。
自動車メーカー勤務の爽やかイケメンで、服のセンスも上等。女性に対する気遣いもスマートでしたが、超絶マザコン。母は母で、美由紀との初めての出会いにこっそり付いてくるほど。
製薬会社の研究所勤務で、相手の目を見て話せないコミュ障。グイグイ来るのが怖いという理由で、この男性だけは美由紀を断りました。
ゲームメーカー勤務でプラモが趣味のイケメン。結婚してからも趣味に時間を使いたいので別居婚を希望。
区役所勤務の公務員、のんびりとした性格で温泉巡りが趣味。さらに、自分で料理をするのが好き。美由紀の頭のなかに合った幸せになれる結婚相手の条件をすべてクリア。
商社マンやコンサルのハイスペヤリ目なんかも入れてほしかったところですが、まあ婚活の場にはいませんよね。ごく個人的に、私の知る範囲で製薬会社の研究所にコミュ障は皆無なのが気になりましたが、突っ込むのは野暮ってもんでしょう。
ここまで好条件の男たちを並べられても、最終的に恋愛で一法師と結ばれることになるんですが、そもそも美由紀が安定した穏やかな家庭を望んだのは、毒親といってもいい母親の影響があったからでした。
登場しない母親の毒親っぷり
私は、読んでいる間、終始この母親の毒っぷりが気になってしょうがなかったんですよね。仕事一筋で世界中を飛び回る高橋に、家庭的な男になることを強制し、高橋が帰ってこないと見るや一方的に離婚を迫ります。
離婚成立後は、母子家庭で再婚せずに働いて美由紀を育て上げますが、「父親はどうしようもない男だった」「大恋愛で結婚したが、結局5年で離婚した」「父親は仕事中の事故で死んだ」「別れたあとはお金も送ってこなかった」と呪詛を吹き込み続けます。
実際のところ、高橋はずっと娘に会いたいと願い、充分な額のお金を送り続けていました。ただ自分の望む家庭的な男になれなかったがために、そのお金を突き返して意地だけでシングルマザーを続けていた母。父親を恋しがる娘を思って、その父親を悪者にしたということでしたが、本当のことを話すこと無く亡くなったということまで含めてこの母親には一切同情できません。
最終的に、すべての登場人物が自分が望む幸せを掴んだ展開になりましたが、この母親が居なければ、そもそもみんな苦しまなかったのでは?というモヤモヤが残りますね。
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