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ゴールデンゴールド / 堀尾省太(1)(2)、福の神に支配されていく小さな離島ホラー
瀬戸内にあり、広島からほど近い架空の離島「寧島」を舞台にしたホラー。「刻刻」の堀尾省太先生の最新作です。
あらすじだけでは、怖さが伝わらないと思いますが、とにかく読んでいると怖くて面白いのです。
1巻と2巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)
主人公の中学生、早坂琉花は感受性が強く、人間関係を苦にして寧島に来て祖母と暮らしていました。同級生のオタクな及川のことが好きですが、及川はオタク道一筋で高校から大阪に引っ越してしまいます。及川が引っ越さないために、島にアニメイトができたら良いと願う日々。
ある日、海岸で干からびた地蔵を拾います。洗って、空いていた祠に供えて、アニメイトが来ますようにとお願いすると、地蔵が子供サイズになって動き始めます。
島出身の人には、その地蔵フクノカミの姿がちょっとちいさいおっさんくらいに見えており、琉花と同じように見えているのは、島に次作の構想を練りに来ていた小説家の黒蓮と編集者の2人だけでした。
フクノカミが家に来てから、祖母のやっている商店と民宿に次々にお客がやってくるようになります。怪しむ琉花たちですが、フクノカミの力は人とお金を連れてくることだけで害はないということで手を打つことはしません。
徐々に商才を発揮してコンビニを建て、隣の家を買い取り、肌の艶が良くなっていく祖母。ときおり、フクノカミとまったく同じ顔に近づいていきます。島を盛り上げるための基金として「寧強会」を立ち上げ、賛同する人にだけフクノカミの恩恵がありました。人々の信仰を得て、どんどんツヤツヤになっていくフクノカミ。
祖母の商売の成功が面白くないのが、島に一軒だけあるスーパーを経営する岩奈屋でした。同級生でチンピラ土方の梶刈に頼み、嫌がらせを始めてきます。
梶刈を金で懐柔しようとする祖母。そのときの表情が完全にフクノカミと同じになっているのを見て、琉花は戦慄します。とんでもないものを拾ってしまったと落ち込む琉花を、黒蓮は人を襲ったりするわけじゃないと励まします。
そのフクノカミですが、金の力で梶刈がなびかないと見るや2巻の最後で凶悪な一面をついに見せます。海から巨大なウデムシ(グロいので検索する人は注意してください)を連れてきて、梶刈の手下に針を突き刺します。
針を突き刺された梶刈の手下は、以上に凶暴になり梶刈を殴り殺します。正気に戻ったときに目の前の現実に嘆く手下。その背後の看板の上にはウデムシがたたずんでいました。