「四月は君の嘘」は新川直司先生の音楽マンガ。主人公は14歳の天才ピアニスト有馬公生。母の死がトラウマとなり、演奏の途中で音が聞こえなくなってしまいますが、同級生のヴァイオリニストの宮園かをりによって凍った心が少しずつ溶けていきます。
進学のために東日本ピアノコンクールで上位入賞を目指す公生は、予選が終わった所で幼馴染の椿から告白されます。動揺が隠せません。そして、公生が思いを寄せるかをりは、入院していましたが容態が急変したのではないか、というところで10巻が終わっています。
この11巻で完結となりました。
11巻のあらすじと感想(ネタバレ注意)
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集中治療室に入ったかをりの容態を心配する一同。かをりの冷たくなっていくての感触が残る公生は、東日本ピアノコンクールの日が迫るも、レッスンに行くことができません。そうして訪れる同日のコンクールとかをりの手術。
ライバルである井川絵見は武士に勝るとも劣らない演奏を疲労。演奏に向かう公生の顔は絵見と武士が心配するほど真っ青。「弾かなきゃ、弾かなきゃ」と念仏のように繰り返す公生は、一瞬自分の手が血にまみれているのではないかという幻覚を見ますが、客席から椿の声を聞いて意識を取り戻します。
そうして始まった公生の演奏は聴衆全員の心を震わせるもの。これまでピアノを続けてこれたことに対するすべての感謝が込められた一曲、ショパンのバラード第一番ト短調op.23。「届け」「一人になんてさせてやるものか」「ぼくの全部をのっけて」、かをりに届くことを願って一心不乱に弾き続ける公生ですが、演奏が終わった時にかをりの命が散ってしまったことを感じます。「ありがとう」という言葉が公生の耳に残ります。
ショパン バラード 第1番 op.23 ト短調 演奏:鈴木直美 - YouTube
「ありがとう有馬君、かをりの人生をカラフルにしてくれて」と言われ、かをりのお墓の前で手紙を受け取った公生。そこにはかをりがついた大きな嘘が書かれていました。幼少期からずっと好きだった公生に近づきたくて、渡亮太を好きだと嘘をついて紹介してもらっていました。もちろん椿が公生に思いを寄せていることを知った上で。「好きです」「ごめんね」「ありがとう」という言葉。最後の場面の季節は四月の春、かつてかをりと出会った季節。
まさかというか何と言うか、ヒロインが死んでしまって終わるとは。悲しい展開ですが、心にじんわりくるような感動もあります。新川先生の次回作を楽しみにしています。
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