「DEAD Tube」「トモダチゲーム」の原作者として活躍している山口ミコト先生のマンガ。死神が叶える「最期の願い」をめぐるミステリーです。伏線全部投げ出して終了してしまいました。
あらすじと感想(ネタバレ注意)
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16歳にして家族全員を惨殺して死刑になった主人公の相田静。死刑まであと3日というところで、妹の響が死神となって現れます。不満が強いまま死ぬと人間は悪霊になってしまうため、ガス抜きとして死ぬ前に一つだけ「最期の願い」を叶える、と響は言います。
家族全員が死んだ夜の記憶がないと語る静。「証拠」「動機」「少年法」などをすっ飛ばしてあっという間に死刑執行になっていたのは、兄が犯人だと思い込んだ妹の響が、死の間際に「最期の願い」で「静に最大の罰を与えてくれ」と願ったためでした。静は「最期の願い」で「真実を二人で探す」ことを願い、響はその願いを受理して、真相を追うことになります。
真相を追うために、死にかけた静を蘇生させたことで、響が査問にかけられることになりますが、静は「人間を殺した人の願いがかなえられることはない」という点と「死神は最期の願いを最大限叶えますが、殺人や蘇生などの人の生き死にに干渉することはできない」という点から矛盾を突きます。自分の願いがかなえられる=自分は誰も殺していない、誰も殺していない無実の自分が死刑になった響の願いは殺人への干渉である=もともと死刑になるほどひどいことをしたならおかしくはない、という論法。
死神長から響の願いをやり直させることを勝ち取り、死神たちと共同生活を営みながら真相を追うことになる響と静。死神の「最期の願い」のシステムを悪用して自らの願いを叶えようとする人物が出てきます。死神様ゲームという殺し合いを開催し、「生き残れば箱にしまった自分の願いが叶う」というルールで願いを持つ人を集めて、箱の中身を入れ替えておけば自分の邪な願いを楽々叶えられるという雑な設定でした。そのゲームを阻止するも、主催者に死神の情報を吹き込んでいた南田という人物が黒幕として浮上してきます。
南田東(みなみだあずま)は、響の最初の願いを叶えた死神サーヤが担当していた人物でした。東は運命死というどうあがいても数日で死んでしまう運命を持っていましたが、サーヤはルール違反を犯して東の命を助けてしまいます。以後、サーヤは「絶対にミスをせず、ルールを侵さない」という誓いを立てました。
黒幕の南田は、南田東の弟で兄の願いを叶えるために死神のシステムを悪用しようとしていました。静は自分の家族の死の真相の一端に気づき、南田に接触します。そこであっさりと南田に拘束される静。
静は響なら自分がいなくても真実を見つけられると信じてヒントを託します。
サーヤは絶対にミスをせず、ルール違反を侵さず、嘘をつかないこと
静だけが事件で死ななかったこと
死神にはできることとできないことのルールがあること
事件が起こった状況を再現するためには、いくつもの願いが必要なこと。最後の願いを言った人物は響きを除いて父と母の二人。かなえたのはおそらくサーヤ。
全部を投げっぱなしにして、今後起こったかもしれない展開がダイジェストで描かれています。
今後起こったかもしれない展開
囚われの身となった静、目覚めた時、その眼前に広がる死体の山。逃亡犯となる静、天才的頭脳で静を翻弄する南田という「戦慄の完全犯罪編」
南田の計画により死の秩序が崩壊をはじめ、大量発生する悪霊たち。それを阻止しようとする死神たちという「激闘の殲滅作戦編」
静が命をかけて、南田と直接解決。「衝撃のラストエピソード事件解決編」
ぶっちゃけた話、ルールに違反する死神がいたり、他人の願いを叶えたりする奇特な死人を持ってくればどうとでも真実を捏造できるような気がしますが、ここで投げっぱなしジャーマンエンドになってしまいました。
良い意味で、山口ミコト先生は初速で次の展開を煽って、伏線を広げるのがうまいですね。伏線の回収は、ずっと読み続けている人にとってはカタルシスがありますが、必ずしも売上につながるとは限りません。もちろん売れなければ打ち切りになってしまいます。
「DEAD Tube」も「トモダチゲーム」も、いろいろ投げ出す予感が今のところ漂ってますが、どうなるのか楽しみになってきました。
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