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びっくり館の殺人 / 綾辻行人、あらすじと感想

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綾辻行人先生の推理小説です。移動時間にサクっと読めるサイズ。

びっくり館の殺人 (講談社文庫)

びっくり館の殺人 (講談社文庫)

なんとも異様な話でした。1件の密室殺人ですが、見所はこの殺人事件ではなくそれにいたるまでの異常な登場人物の描写です。

あらすじをネタバレ全開で書きます。まだ読まれていない方はここから下は読まないほうがいいでしょう。読まれた方は、私の考えもあわせて書いていますので、どうぞ。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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主人公は小学六年生の永沢三知也。彼の視点で物語は進みます。複雑な過去を持っています。事件には全然関係ありませんでしたけど。兄がいじめを苦にして自殺しています。そのときいじめをしていた同級生を一人巻き添えにしました。検察官の父は、いじめはよくないとしながらも殺人であり、兄にもよくない点はあったと言います。これが原因で、母は精神的におかしくなり離婚することになりました。

三知也の友達が俊生。三知也とは同い年です。俊生の家がびっくり館です。不気味な洋館で、ひと部屋だけ、順番にびっくり箱を開けた場合のみ開く隠し扉のある部屋があります。この部屋が殺害現場。

俊生の家庭はめっちゃ複雑。まず俊生の母方の祖父母は事故でなくなっています。俊生の母美音は伯母にあたる夫婦に引き取られます。この夫婦の夫が今回の被害者の古屋敷龍平。美音は俊生ともう一人子供を授かります。俊生の姉リリカ。リリカはすでに亡くなっており、母である美音にナイフで殺されていました。殺された理由は誰にもわかりません。もうとにかくこの家にいる人は全員が普通の精神状態じゃありませんからね。

俊生とリリカの父親は古屋敷龍平だろうと予測されます。母と姉亡き後、俊生は古屋敷龍平に虐待されることになります。具体的にはリリカの格好をさせられ、自分の人形劇にあわせて動くリリカの代わりをさせられるんですね。俊生は三知也に秘密箱を渡し、中に「Help us!」というメッセージを入れています。

密室殺人で起こった古屋敷龍平殺害の犯人は俊生。密室ですがリリカ人形として被害者と一緒に室内にいたので、それがわかれば謎も何もありませんよね。

犯人が捕まらなかったのは第一発見者である三知也達が、それぞれ俊生が犯人である証拠をすべて消したから。何が怖いって、俊生は皆が自分をかばうことを見越してメッセージを発していたことですね。明確には書かれませんが、俊生は計算高くすべてを予想していたのではないかと思いますが、みなさんはどうですか。この続きがあるならこのとき真実を知った3人が順番に殺されていくとかでしょうか。まあ一人は地震で死んでますし、もう一人は車椅子の俊生と一緒にいるところを見ると、次に狙われるとしたら三知也じゃないのか、ラストはそんな恐ろしい展開を予想させる終わり方ですね。

ミステリーとしてみると、なんじゃそらですが、この異常人物描写が面白い。

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