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魔法使いと刑事たちの夏 / 東川篤哉、魔法で犯人に自白を強要する推理モノ風エンターテイメント小説

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魔法使いと刑事たちの夏

小山田聡介刑事が主人公の、推理モノの皮をかぶったエンターテイメント作品。小山田聡介をサポートするのが、魔女のマリィ。正真正銘の魔女で、魔法を使って真犯人を自白させたりしちゃいます。そんな聡介が惚れているのが39歳と妙齢の先輩である椿木綾乃警部。

聡介の自宅で住み込みの家政婦として働くマリィが今回も魅せてくれます。倒叙と呼ばれる犯人が最初に出てきて、殺人から何らかのトリックに至るまでが描かれた後に、刑事たちの推理が展開されます。しかし、推理以前に魔法で真犯人に自白させたりと推理モノとしてはもうメチャクチャ。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

魔法使いとすり替えられた写真

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芸能事務所の女所長が、自分の事務所に所属する若手人気俳優のスキャンダルをもみ消すために、証拠写真を撮影したカメラマンを殺害します。殺害動機をごまかすために、若手俳優が女といる写真をパソコンごと廃棄し、アイドルと男が写っていた写真をカメラマン名義の封筒を使って週刊誌に投稿。さらに、若手俳優と口裏をあわせてアリバイ作りを行います。

しかし、このアリバイ作りが却って裏目に。カメラマンが撮影していた若手俳優とアイドルのスキャンダル写真は、顔こそ片方しか写っていませんが2人が付き合っていたことを示すもの。はからずもその写真を投稿してしまったためにばっちりと証拠が出版社にあるという事態に。

魔法使いと死者からの伝言

建築家が、工務店社長をその社長の新築の和室で殺害。一晩経っても事件が報道されないことから、まだ発覚していないと判断し、凶器に使ってしまった大切なナイフを回収しに行きます。このとき、死体の近くに自分の名前を血文字でダイイングメッセージとして残していることに気付きます。このダイイングメッセージを、更に大量の血で隠した上に、ニセのダイイングメッセージを血で描いておきます。

隠したはずのダイイングメッセージは、畳の上の血を洗うとあっさりと明らかになってしまいました。被害者の居た部屋は和室で窓を閉めずに日光が射し込んだために、犯人の名前がくっきりと新しい畳に焼き付いていました。

魔法使いと妻に捧げる犯罪

売れてない推理作家が、遺産と保険金目当てに妻の叔母を殺害します。妻が家にいる間、上階の書斎にいるふりをして梯子で脱出した上に、女装して叔母の家を訪問し凶行に。女装で現場に向かったことから、犯人は女性であるという事で妻に疑いがかかります。その妻のアリバイを証言することで、自分のアリバイを確保するという目算。

しかし、遺産を求めるほど困窮した売れていない推理作家という事が災いして、このアリバイトリックも墓穴を掘ることに。自分の部屋で音楽を聞きながらパソコンを付けて作業していたと言いますが、1階では妻が友人と焼肉をしていました。貧乏故に電力のアンペア数を落としていたので、そんなことをしたらブレーカーが一発で落ちてしまうのでした。自分が妻のアリバイを証言しつつ、自分のアリバイを証言したことが裏目に。

魔法使いと傘の問題

自分の洋服店が入っているビルのオーナーから、ビルからの立ち退きとビルの建て替えを告げられて、オーナーを殺してしまった男。その死体を河原に捨てて、そこで襲われたかのように偽装します。わざわざ傘を開いて死体の側においたことから偽装がバレることに。河原に連れ込む前に通り道で襲われたはずなので、死体の側に傘があるのはおかしい、という理屈。

この男も自分の証言で自分の首を締めることに。自分の店を訪れたオーナーが残していた傘を、自分のものであると警察に強弁。その日、オーナーがその傘を持っていたという証言があるものの、あくまで自分のものであると言いはり、雨が降ってきたことでその傘を聡介に貸しますが、その傘はボロボロで被害者が杖がわりに使っていたもの。傘が被害者のものであることがバレてしまい、当日自分の店を訪れていたことも明らかになりジ・エンド。

お気楽な感じで、マリィの魔法が活躍して事件が解決していきます。真面目に犯人のトリックを推理することも出来なくはありませんが、会話のテンポを楽しむお気楽小説としての色合いが濃いですね。

魔法使いと刑事たちの夏

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