魔法使いは完全犯罪の夢を見るか？は推理モノに見せかけたエンターテイメント小説だった

謎解きはディナーの後でに続き、東川篤哉氏の推理小説を読みました。推理小説ではありませんでしたけど。

おもな登場人物は3人と少ないです。主役は小山田刑事、どＭです。妙齢の先輩、椿木刑事に蹴られることに快感を得ています。椿木も39歳結婚願望アリで、イケメンの犯人になびくコミカルな人物です。

普通の推理小説ではありえない魔法使いのマリィが出てきます。魔法で犯罪を自白させたりするので、複雑な推理はまーーったくありません。

タイトル見たときに、ディックの神小説を思い浮かべたんですけど、まったく関係ないですね。意識してたんでしょうか。

ドラマの古畑任三郎のように、犯人は最初からトリックの仕込む様子が描かれます。ポイントは、そのトリックにより完全犯罪を企むも、マリィが導き出す手がかりによってマヌケな刑事小山田に破られてしまうというところ。そのやり取りを楽しむ小説です。４話構成です。

ネタバレになるかもしれませんが各話のあらすじを書いておきます。

ほんの10分の間に部屋を抜け、妻を殺害する南源次郎。発見時には部屋中のテレビや机、いすがひっくり返されていた。10分間のアリバイは無いが、部屋中のものをさかさまにする時間は無い。

泉田健三は車の中で義兄を殺害する。家の中で殺害したと見せかけるため、あらかじめ車に自宅と同じ椅子を用意。殺害後、椅子に座らせた状態で死後硬直させる。その後、こっそり義兄の自宅に搬送。完全犯罪の成立をもくろむ。

ものまね芸人松浦宏一は、その特技を生かして筆跡を完全にトレースし、自殺に見せかけて殺害した被害者の遺書を捏造する。

プロ野球選手菅原武彦は、自分のそっくりさんと服を交換してマンションに帰宅したように見せかけ、アリバイを作る。妹の元婚約者を殺害後、再度服を交換して入れ替わる。アリバイを主張して完全犯罪の成立をもくろむ。

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