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ヨグ=ソトース戦車隊 / 菊地秀行、世界を敵に回して邪神の赤ちゃんを守る男たち

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ヨグ=ソトース戦車隊 (The Cthulhu Mythos Files)

創土社クトゥルー・ミュトス・ファイルズというクトゥルー神話をテーマにした小説シリーズの一つ「ヨグ=ソトース戦車隊」。作者は菊地秀行先生です。菊地先生の作品としてクトゥルー戦記と銘打った「邪神艦隊」に続く2作目。3作目は「魔空零戦隊」、舞台が海・陸・空と続いているわけですね。ミリタリーとクトゥルーを融合させたとてつもなくマニアックなシリーズ。

クトゥルー神話は、ギリシャ神話や北欧神話と同じく神話の一種ですが、他の神話と大きく毛色が異なる部分が一つあります。それは、ごく最近生まれて、作者も明らかなこと。100年も経ってません。ぶっちゃけていうとラヴクラフトって人が作った小説。それに乗っかる形でいろんな人が現代の神話ということで面白おかしく本格的に共有されたことで、まさしく神話となりました。

誤解があると申し訳ありませんが、ざっくり説明するとクトゥルーの神々とは四台元素(火、水、土、風)を司る神たちのこと。封印されているのか、あるいは眠っているのかGreat Old One(旧支配者、古き神々)なんて呼ばれます。対して、The Outer GODSと呼ばれるクトゥルーとは別格、別次元にいる神もいます。こいつは、基本的にはクトゥルーと対立構造。The Outer GODSの別名がヨグ=ソトース。

ヨグ=ソトース戦車隊は、ヨグ=ソトースの赤ん坊をサハラ砂漠のど真ん中にある神殿に届けるまでの戦いを描きます。

物語は唐突に、日本人戦車長、アメリカ人操縦手、ドイツ人砲手、イタリア人機銃手、中国人通信手が一代の世界最高の戦車と共に目覚めるところから始まります。5人はあらゆる記憶を失っていましたが、目的だけは共有していました。「何か」を得るために邪神と契約していて、邪神の赤子を神殿に送り届けなければならないということ。その邪神が、世界にどのような影響を及ぼそうが知ったこっちゃありません。

時は1942年、サハラ砂漠にほど近い北アフリカ戦線では、ドイツイタリア枢軸とアメリカイギリス連合が火花を散らせていましたが、クトゥルーの支配がおよぶ為政者達は、戦争そっちのけでサハラ砂漠を進む1台の戦車の破壊を命じます。かくして、世界を敵に回したヨグ=ソトース戦車隊の戦いが始まる、という展開。

あらすじと感想(ネタバレ注意)

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気がついた時には、日本兵の真城護は戦車の中にて戦いの真っ最中でした。飛び交うのは日本語ではなく、英語、ドイツ語、イタリア語に中国語。自分も含めて5人が、記憶もなく目的だけが明らかな中集められていました。ヨグ=ソトースと契約し、その赤ん坊を神殿に命をとして届けることが全員の目的。

自分たちが乗っている戦車は、その時点では存在しないはずのヤク・タイガーという未来の機体。広大なサハラ砂漠ですが、なぜか頭の中には赤ん坊の場所と神殿の場所がはっきりとわかっていました。赤ん坊を拾いに行くと、そこには契約にはないはずの赤ん坊を抱えた女性が。置いていこうとしますが、どこまで進んでもその女性シュラナが、前方にいるという奇怪な事態に。やむなくシュラナも連れて進むことに。

地上からは、ドイツの名将ロンメルやイギリスの猛将モントゴメリー率いる戦車軍団が襲ってくる上に、空からは零戦に勝るとも劣らない撃墜王の異名を持つメッサーシュミットが狙ってくるという戦いに次ぐ戦い。ヨグ=ソトースから指定された補給地点では、クトゥルーの眷属である軟泥状の人口生命体ショゴスやダゴンの妻ヒドラが襲いかかってきます。ヨグ=ソトースの加護もありなんとか切り抜ける面々。

道中の助けになったのは圧倒的な怪力や、謎の未来予知能力を持つシュラナ。しかし、正体不明のシュラナは途中何故か姿を消します。ボロボロになりながらも、神殿の場所に到着すると、そこには到底理解の及ばない超巨大な神殿が砂漠のどまんなかに。神殿に入った一行を最後に追ってくるのはドイツの怪物部隊。ヨグ=ソトースの赤ん坊を我が物にするために、戦車部隊や飛行機を生身で撃墜するほどに怪物。

この怪物の前に全滅かと思われたところを救ったのはまたもシュラナ。神の如き力で持って怪物を消し去ります。シュラナの正体はヨグ=ソトースの妻シュブ=ニグラス。しかし、赤ん坊はヨグ=ソトースと人間の間に生まれた子でした。最後の最後で赤ん坊を取り上げて八つ裂きにするというシュラナ。神殿には、この時のためかと思われるシュラナを追い払うための武器が。シュラナを退けてとうとう神殿のその地点に赤ん坊を送ることに成功します。契約の対価は「記憶を消し去る」こと。5人全員が戦争によって望まぬ虐殺を強いられた記憶に苦しめられていました。戦いのない世が訪れることを願ってその場に倒れる5人。

濃すぎるぐらい濃い戦争とクトゥルー感ですね。万人にはおすすめできません。

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