「鈴木先生」の武富健治先生が描くサスペンスホラー。
キャラクター紹介
キャラ名 | 説明 |
---|---|
三沢勇人 | 主人公の医師、役に立たないサイコメトリー能力を持つ |
笹間秋奈 | 赤目村で食堂を経営する未亡人 |
六車宗一 | 赤目村の村長 |
六車八蔵 | 六車の分家で漁師を営む男 |
逢坂義次 | 赤目村の青年団団長 |
丹沢 | 勇人よりも前に赤目村にやってきた分校の教師 |
花田スミレ | 乙女小屋で生活している女 |
閼伽目祥子 | 赤目神社の家に生まれた少女 |
高橋耕太 | 村八分にされている中学生 |
鈴木章 | 勇人の親友、例のブローチを付けているけど鈴木先生? |
全2巻で完結なのに他にも、もはや表に入れるのも面倒くさいくらいたくさんのキャラクターが登場します。ざっと箇条書きで、
六車宗一のおいの和也、和也の妻の美佐子、宗一の弟の吉宗、宗一の妻の正代
逢坂義次の妹の中学生文江、義次の妻の志保
スミレとともに乙女小屋で生活しているユカ、アカネ、マキ、ハル、キミ、ノリコ、レナ
青年団に所属している千葉、出羽、多良目、五里
祥子の祖母でみんなからおばばと呼ばれるツタ、ツタの息子2人は亡くなっていて、一郎が祥子の父、二郎が秋奈の夫
高橋耕太の妹の瞳、母の早苗
あらすじと感想(ネタバレ注意)
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先に結論を書くと、クロスオーバー的に最後だけ登場する鈴木を除いて赤目村で生き残るのは4人だけ。
赤目村は瀬戸内海に面する海と山に囲まれたアクセスの超絶悪い閉鎖的な村。そこに赴任してきたのが若い医師の三沢勇人。赴任してきて早速赤目村のバックグラウンドの説明がなされます。村の開発を進める村長と、村の伝統を残したい青年団が対立しています。勇人と同じく村の外からやってきた教師の丹沢は歴史マニアで、村を災厄から守る赤目姫について話を聞きます。
学校で目撃する仲間はずれの光景。皆からハブられていじめられているのが高橋耕太。その日の夜、青年団団長の逢坂義次の妹の文江の転落事故が起こります。
村では外からやってきた独身女性が生活するための乙女小屋という施設があるんですが、この施設は実は村営の風俗。赤目村ではなぜか女児が少ない様子。誰か特定の相手と結婚するまで、この乙女小屋で生活するのがしきたり。村の外で行き場の無くなった女性を引き取ってきて、居場所を作っているとのことですがなんとも原始的。食堂を経営する未亡人として登場していた笹間秋奈もかつてここで生活していました。勇人にこの真実を教えてくれたのが花田スミレ。
転落事故は誰かが悪意を持って行ったことと考える勇人でしたが、村や警察はあくまで事故として処理しようとします。独自に調査を開始する勇人。ここで唐突に勇人のサイコメトリーが登場。調査で見つけた耕太の靴と、文江の握りしめていた種子から2人が誰かに突き落とされたことと、祥子が現場を目撃していたことを知ります。
村の真実を知り、ストレスが溜まっていく勇人の喫煙シーンが増えていきますが、タバコを手にするたびに目がまどろんで様子がおかしくなっていきます。勇人のまどろみを覚ます次なる事件は耕太の家の火災。何者かの放火により死亡した耕太の両親と隣人。耕太と妹の瞳は行方がわからなくなります。事件を疑って検屍している途中でまたタバコを吸ってまどろんでいく勇人。
唐突に蘇る秋奈の言葉「酒とタバコは欲しいだけ島民がくれる、それは『試し』なんや」。よく見るとタバコのパッケージは作りが粗く、一本一本も手巻きのように不均一。匂いも普通ではない上に、吸った後ですぐ手に取りたくなる中毒性。
その後、落雷による停電が起こり、暗い中寄り添って肌を重ねることになる勇人と秋奈。そのまま眠ろうとした時に突然離れた場所をイメージしたサイコメトリー。何者かが観覧車に村長を吊るして殺害していました。真っ先に現場にたどり着いた勇人と秋奈でしたが、そこを村民に発見され、勇人は殺人の疑いを駆けられて幽閉されます。勇人のもつサイコメトリー能力に気付く秋奈。
痛めつけられて幽閉されていると再び離れた場所をサイコメトリー。今度は船の上で、犯人まではっきり見えて六車八蔵が逢坂義次と文江の両親を殺すシーン。と目覚めた所で一連の殺人の糸を引く人物があっさりそのことを告白してきます。糸を引いていたのは秋奈。勇人に村の秘密を伝えたスミレもすでに秋奈に殺されていました。
秋奈は乙女小屋にいる乙女組の面々を指揮して、もうすぐ行われる赤目神社大祭で振舞われる酒に何らかの仕込みを行なっていました。発見された古文書を読み解いて、古代からの由緒正しいレシピに置き換わっていましたが、麻薬成分だけでなく致死性の毒まで含む恐ろしいものに。
乙女組で秋奈に従っていなかったキミとアカネに救い出された勇人は、耕太と瞳が乙女小屋に匿われていることを知ります。大祭で行われようとしている惨劇を止めるために、お面をかぶって村民に紛れ込んで会場の中に。ここまででタバコや酒の中身からも明らかなように、村で栽培されているのは違法薬物のオンパレード。それをタバコにする内職は乙女組の仕事で、中毒の危険がある汚れ仕事は村八分にされている高橋家のある谷地という集落が担っていました。
村人のほのめかすような会話から暗示されているこの祭りのメインイベントは、村全員で行われる乱交パーティー。その会場となっている地下洞窟に全員が集結。振舞われた赤酒、白酒、黒酒を全員でのみます。白酒は死路酒、黒酒は苦露酒。由緒正しいレシピで混ぜて飲むことで毒性を発揮。赤目の血の濃い人間がここでバタバタと死んでいきます。祭りの真の目的は、村人の血の選別。閉鎖的な村に外の血を入れるための古代の叡智だそうです。
さらに、死なずにピンピンしている村人も様子がおかしくなり、異常な凶暴さを発揮して殺し合いが始まります。惨劇を起こして逃げた八蔵と秋奈を追う勇人たち。おばばが大神の怒りを沈めるためには古式に則った本式の祭りが必要、さもなくば村は火と土と水で滅びると話していましたが、洞窟から出ると村の気温が一挙に上がっていました。姫山に噴火の兆候。
勇人たちを殺すべく追ってきた丹沢は火山から拭きでた溶岩が体に激突して谷底へ落ちていきます。そして丹沢に操られて文江を突き落としたのが瞳だったことが明らかに。小学生ながら、薬と性的虐待で洗脳されていました。勇人を殺そうとして防がれると、丹沢の後を追って死亡。このシーン必要?
キミとアカネも死んで、勇人・祥子・耕太の3人は洞窟の奥へ。そこにはラスボスの秋奈が待ち受けていました。秋奈に惚れていた八蔵はすでに毒殺済。長々とこの惨劇を起こした動機が語られますが、簡単にまとめると村人全員を祭りで殺そうと仕込みをしているのが楽しかった、というなかなか斬新なもの。
過去と離れた場所の現在を見通すサイコメトリーに祥子の力が加わって予知までできるようになり、秋奈の槍や崩れ落ちてきた洞窟の岩を躱します。岩にあたった秋奈は大怪我を負ったあとで自殺。溶岩と土石流に飲み込まれていく村でしたが、ここで連絡を受けていた鈴木が3人を助けに来ます。病院から文江をピックアップ済み。ということで助かったのは勇人・祥子・耕太・文江の4人となりました。そして中学生ながら文江のお腹には耕太の子がいることも明らかに。
怒涛のバタバタがすごすぎる本作の後書きによると、サイコメトリーの能力をできるだけしょぼくしょぼくしたことや、ヒロインっぽく出てきた熟女はだいたい犯人であるというミステリのお約束は意識的に描いたそうです。終盤の、これいらないでしょと感じた耕太と文江のディープキスシーンは武富先生のお気に入りでしたか。
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